初歩のスケッチその10 水彩で風景を描く

前にも述べましたが、絵を描くことは楽しいことです。 描いていると、色々な発見があります。風景画もそうです。 楽しく描くためには、あまり既成概念にとらわれないで、自由に描きましょう。  前項で述べましたような画法も1つ2つ試しながら描いてみましょう。一度にたくさん取り入れようとすると うまくいきません。一つづつものにしていきましょう。  気に入った風景を見つけたら、何がおもしろいのか、惹きつけられた対象は何か、をじっくり眺めて、 自問自答しながら構図を決めましょう。 描く上で不要なもの邪魔なものは省きましょう。  スケッチブックの画面いっぱいに描きつぶす人がいますが、余白も大事です。 白い部分や光が当たっている部分は塗らないで地のまま残すようにしましょう。  スケッチに持っていく画材は最小限にしましょう。 絵具(固形12色または3原色3色)、スケッチブック(F4),筆(2-3本)と鉛筆、水と水入れ、パレット、 布切れ。できれば折りたたみ椅子。 適当なバッグに入れて持っていけばいいです。やっているうちにどんどん色々なものが欲しくなります。  適当な場所が見つかったら、座って描くか、立って描くか、決めましょう。立ったり座ったりしますと目線が 視点の位置が変化して不自然な構図になります。 そして、光の影です、影や明るさは太陽の位置によって、刻々と変わります。影の方向、大きさも変化して いきますので、描き始めた最初の位置、方向をキープしてください。  基本的にスケッチは現場で最後まで完成させることですが、天候の変化や描く時間に制限のある場合は 途中で止めて、自宅で残りを描きましょう。その際、現場で写真を撮っておきます。 それを見ながら完成させてもいいかと思います。

 

初歩のスケッチその9 水彩の技法

水彩画の描き方、技法も非常に多くのものがあります。いくつか会得することにより表現の幅が広がります。 ここではごく一般的なものを紹介します。  ウオッシュ 水をたっぷりつけて、絵具を塗り伸ばすように置いていく透明水彩の基本ともいうべき技法です。 濃淡で変化がつけられます。 絵具を置く前に水で塗っておくと、複雑な濃淡が付けられます。  ウオッシュのにじみ 1色目が乾かないうちに次の色を置きます。2色目がにじんで複雑な質感が得られます。  線描 花の葉の葉脈を描く様な感じでウオッシュの後に細い筆で描きこみますと美しい絵ができます。  ドライブラシ ウオッシュした後に水を含んだ筆に絵具を付けてその上に描くと質感の強い絵ができます。  ふき取り 絵に変化をもたらせるために、塗った絵具が乾かないうちに、ティッシュや布切れで拭き取る技法です。 乾くタイミングによって様々な模様が出来ます。  ウエットインウエット ウオッシュした下地の上に別な色を、そっと筆を画面に置きます。そうすると複雑なにじみ模様ができます。 たらし込み、という方法もあり、これは水を塗った画面に水が乾かないうちに絵具を含んだ筆を置くと 絵具が四方八方に散っておもしろい模様ができます。  グリザイユ 最初に影の部分や陰影の濃い部分をバーントシェンナとウルトラマリンの混色や濃いグレーなどの暗い色を 先に塗っておく技法で、後で暗いところを黒い色で塗るより自然な風合いとなります。

他にもいろいろありますが、2つ3つ覚えておきますと便利な技法です。

初歩のスケッチその8 水彩用画材

画材屋さんにはたくさんの水彩よう画材が並んでいます。
はじめの内は、その中から自分に合ったものを選び出すのは用意ではありません。
一応の目安として、この程度のものを揃えておけば十分だと思われる程度のものを列記してあります。
あれもこれもと欲張らないで、少しずつ買い揃えていきましょう。
スケッチブック
一般的なスケッチなどで使ったものではなく水彩用のスケッチブック又は用紙を買いましょう。
大きさはF0からF10くらいまでありますが、F4くらいが一番使い勝手がいいです。
紙質ですが、なるべく厚いものがいいです。(230g以上)
マルマンのコットンがいいかもしれませんが他にも色々あります。
又面も細目、中目、荒目とあります。最初は中目でいいでしょう。
ペン、筆
スケッチの下絵用に使う筆記具ですが、これは前項でのスケッチ画材で述べたものをそのまま使って
差し支えはありません。
水彩画として完成を目指すわけですから、下絵はラフスケッチであまり濃く描く必要はありません。
筆は水の含みがよく、ほどよい腰の強さがあるものが使いやすいです。丸筆の4号から10号くらい、
平筆の5号くらい1本と細い筆0号1本くらいあれば十分でしょう。
絵具
チューブ入りのものと、キャラメルみたいな固形のものとがあります。
スケッチには固形のものがお奨めです。
携帯用のものがたくさん出ています。絵具の数は12色セットくらいがいいでしょう。
パレット、水入れ、布切れなど
パレットはプラスティックの24色仕切りの入ったもので十分
やっている内に欲しい色が出てきますので、買い足していけばいいかと思います。

初歩のスケッチその7 水彩画入門(透明水彩と不透明水彩)

風景などをペンや鉛筆でスケッチして奥行きや細部まで描きこむ。
いわゆる線画、ペン画、鉛筆画はそれなりに美術の1つの部門となっています。
ここではいよいよ色入れを行っていきます。その方法として水彩画を紹介します。
絵を始められる人は最初は前記のようにスケッチやデッサンで描く練習をしていきますが、やがて
風景の切り取り方や構図の取り方が分かってきます、そして彩色の工程に入られる人が多いです。
水彩画や油彩画(油絵)に進む選択肢があります。水彩画に進まれる人の方が少し多いかもしれません。
中には日本画、パステル画や水墨画に進まれる人もいます。
後編で油絵を中心に述べていきますので、ここでは水彩画を紹介します。
水彩画は大きく分けて、透明水彩と不透明水彩に分けられます。
透明水彩は淡彩画とも言われ、一般的にスケッチなどで彩色するときに使われています。
透明水彩は水をたっぷり使って、画面から下地を透かして見せる技法です。
水彩絵具は絵具の素の顔料をアラビアゴム溶液と水で練ったものです。
アラビアゴムは親水性が強く、乾燥後でも水によって再び溶けます。
この顔料の割合が高いものが不透明水彩(ガッシュ)で被覆力が高く、紙の地や下の色を隠す力が高いのが特徴です。
昔、小学校の頃に美術の時間に使っていた絵具がそれです。
透明水彩には多くの描き方、画法があります。いずれもこの水をたっぷり使った描き方が中心となります。

初歩のスケッチその6 もう一歩前進しよう

何度かスケッチに行き、スケッチブックも何冊かになってくると、自分のスタイル
らしきものが固まってきます。おもしろいと思う風景も早く見つけることができ、
早く構図取りができるようになります。
好きな風景、構図の取り方、遠近の描き方、などが大体、自分のパターンになってくると、
もう少し表現の幅を広げたい気持ちが湧いてきます。
そんな時は他の人の絵やスケッチを見ると右脳に新しい情報が入って活性化します。
絵の表現方法は無限ですから、ワンパターンになりかけている場合は刺激になるでしょう。
小さなスケッチ展やグループ展、美術館での展覧会に出かけてみてください。
新聞などにそうした美術展の案内がいっぱい出ています。
あるいは本屋さんで、画材屋さんで画集などを見てみましょう。
町の画廊もおもしろいです。ちょっと入りにくいかもしれませんが、
買うわけではないので遠慮がありますが、ちょっと見させてください、と言えば問題ありません。
又はインターネットでもたくさん出ています。素人からプロまで、ブログやホームページで
作品を発表しています。
絵を描く素養が少し頭の中に形成されてきますと、他人の絵の評価ができるようになります。
他人の絵が分かるようになると、新たな感動の輪が広がっていきます。
頭の中の絵のレベルが上がっていきますので、これも上達のためには重要なステップです。

初歩のスケッチその5 構図の取り方

その3ではスケッチの技法として遠近法について述べました、
又、なるべく対象を絞って、何が描きたいのかを明確にして描きましょう、
とも、述べました。
もう1つ大事な注意すべきことがあります。
それは初心者の人が最初に失敗することで、見たものを全て描くという写生的な描き方です。
そうすると、絞込みが足らないと焦点がボケてしまうと同様、これも又、
何が描きたいのかわからない絵になってしまいます。
ここで必要なことは、不要なものは描かないことです。
何が必要で何が不要か。
それは頭の中で対象をよく見て、自分の描きたいものをしっかりイメージする。
感動があれば、その感動の対象は何かが分かれば、何が必要か不要かの選別ができるように
なります。
自分の描きたいものはしっかり描いて、それ以外は描かない、か、又は輪郭だけにする。
こうすると主張したいものがはっきりします。
また逆に見た範囲にはないのですが、ここに1本電柱が入ると絵がしまるな、とか構図が
よくなるとか感じた場合は、そこにはないのですが、描き加える場合もあります。
しかし、そうは言っても意外と難しいかもしれません。
繰り返しスケッチを重ねていって、少しずつ前進していくしかありません。
ただ漫然と描いていると、どんどん面白くない絵になってしまいますので注意が必要です。

初歩のスケッチその4 スケッチ画材について

スケッチブックには多くの種類があります。
画材屋さんにいきますと、大きさ、紙の厚み、紙質などで分かれています。メーカーもたくさんあります。
スケッチブックの大きさは一般的にはFサイズが使われます。
Fサイズは本来は人物画用でしたが、現在では風景でも人物でも使います。
他にPサイズ(風景用)、Mサイズ(海景用)、M(正方形)があります。
そして大きさはFサイズは0号(18*14センチ)からあり、小さい絵で人気のあるSMサイズ(サムホール)
(22.7*15.8センチ)、次に3号があり、もっともスケッチで使われる4号(33.3*24.2センチ)
さらに6号、10号、15号、20号とあります。
野外スケッチには4号が使いやすいでしょう。旅行に行くときポケットに入れておきたい携帯用はSMでしょう。
厚さも色々です。紙の厚さは重さで表現します。その紙を1m四方の大きさに作ったときの重さです。
参考までに。コピー用紙は40g以下、スケッチブックなどの画用紙は110gから130g、厚口で150g、
水彩紙で200gから350gです。必ずこれが表記してありますので確認してください。
紙の質もまた色々です。
紙が薄いクロッキー紙、スケッチブックなどの画用紙、水彩紙、木炭紙、画仙紙(日本画用)などがあります。
描くものですが、サインペンでもボールペンでも普通の鉛筆でもいいです。
画材屋さんに行くとこれもたくさん出ています。
ステッドラールモグラフ鉛筆(130円くらい)や三菱鉛筆のセット、紙巻チャコールペンシル(160円くらい)、
などがおすすめです。
覚えておくと後で参考になります。

初歩のスケッチその3 色々なモチーフをスケッチしてみましょう

スケッチの対象は観光地の風景だけではありません。
自分の家の周りの町並みや公園、小川や池など、おもしろい風景がいっぱいあります。
前項で観光地の風景を上げたのは、感動し易いからです。感動があればそれがスケッチのエネルギーとなります。
できればそうした観光地の経験を経てから、家の周りの風景をあらためて見てみますと、見慣れた風景であっても、
意外と小さな感動が得られる場合があります。少しでも風景の構図のおもしろさが分かってくると、身近な風景も
立派なモチーフとなります。近くを再発見してみましょう。
又、スケッチの練習として外に出られないときは、室内にある台所用品、なべ、やかん、急須、ビン類、や骨董品
などいっぱいあります。そうした静物を描いてみましょう。すごく練習になります。
この時に描き方があります。
描き方はたくさんありまして、色々な画家が色々な言い方をしています。
この段階でスケッチ入門とか初歩のスケッチとかの教則本がたくさん本屋さんや画材屋さんで売っていますので
それを参考にしながら描き進めていくのもいいかと思います。
風景にしても静物にしても、基本的な描き方を覚えておくと、絵の表現範囲が広がります。
基本中の基本は遠近法です。手前のものは線が太く、後方にいくにしたがい細く。手前は濃く、後方は薄く。
そして透視図法です。建築や機械関係の工学系の学校を出られた人は何でもないでしょうが、文系の人達には
ちょっと難しいかもしれません。これを文章で説明すると余計分からなくなるかもしれませんから、ネットや図書館
で具体的な絵を見ながら勉強するのがいいかもしれません。

初歩のスケッチその2 風景の切り取り方

感動した観光地の風景。カメラではなく、スケッチブックに描き止める。
下手でもいいから、対象を決めてスケッチする。
どうしても最初は目に写った範囲のものは全部描こうとします。
自分の描きたい感動した対象が広い範囲に及んでいる場合もありますが、これですと、描き終わった絵を見てみると、
一体何が描きたかったのか、何に感動したのか分かりずらいです。
従って初心者は出来るだけ範囲を絞って、さらにその中で主役になりそうなものを探す。
例えば、池の水面、とか山並み、田んぼの畦道、茅葺屋根の農家などなど。
その主役級のモチーフを構図の真ん中や手前に配置する。主役級のモチーフが決まれば後の景色は脇役ですから
ずっと描きやすくなります。脇役は手を抜いた描き方でいいのです。
風景の大きさ、その構図の取り方は、左右の手の親指と人差し指で四角い枠を作って、それを目の前にかざして、
遠くへやったり近くに寄せたりして、気に入った構図を大体で取ります。
又、四角い穴の明いた画用紙(厚紙)を携帯して使ってもいいと思います。
風景の切り取りは欲張らないで、なるべく絞ったほうが描きやすいです。何が描きたいかが鮮明になります。
すばらしくて感動した風景でも、どうしても絵としての構図がとりにくいと感じたら躊躇することなくパスしましょう。

初歩のスケッチ その1 スケッチブックを持って外に出よう

皆さんは今までに色々な観光地に行かれたことでしょう。そしてたくさんの感動があったでしょう。
そんな時、まずはカメラで写し撮ります。その風景を背景にして記念写真です。
しかし、ちょっと横を向きますと、小さなスケッチブックに一生懸命、その風景をスケッチしている人がいます。
それを見て、自分も絵がかけたらいいなー、と思いませんでしたか。
そうです。これが絵を描く、スケッチする原点です。スタートです。
自分には絵を描く素養はない、と思ってあきらめている人が大部分です。
風景を見て感動した経験のある人でしたら誰でもできます。この感動が大事です。感動がなければ何も進めません。
又絵を描こうと思って構えてしまって形から入ろうとすると、なかなか描けません。
いい風景だな、好きな風景だな、気持ちいいな、落ち着く風景だな、感動の風景だな。こんな心の琴線に触れる場所。
こんな場所があったら迷わずスケッチブックをポケットから出して描きとめましょう。
カメラも写しておきましょう。
どんな風景をどのようにして描くかは後半で述べますが、まずはどんな描き方でもいいです。自由に好きなように
描きましょう。
風景には基礎として遠近法や、構図のとり方、などがありますが、いずれ通っていく道です。
まずは自由に描いて楽しさを味わうことの方が先です。
ただ風景を見て、何に感動したかを、よく対象を見て突き詰めてください。言葉に表してみてください。
なんとなく感動したでは絵になりません。じっとよく見ますと、やがて分かってきます。
しかし最初からは難しいかもしれません、そんな時は対象を絞ってみましょう、描く範囲をぐっと縮小するのです。
川が流れ、木々がいっぱいある風景の場合はほんの数本の木だけに範囲を縮小する。という具合です。
上手い、下手はどうでもよろしい。最初からなかなか上手ですね、なんて言われたいとは思わぬことです。

絵は無から有を生み出す作業です

白いキャンバスに自らの発想に基ずく形を描き込んでいく、それが無から有を生み出す最初の工程です。
イメージトレーニングのとこでも述べましたが、絵は頭の中で描いたもの、それを具体的に絵としてキャンバスに
描き込んでいくのですが、描いたものが自分の頭の中のイメージと合っていれば感激します。
大体はなかなか合いません。繰り返し繰り返し描いていると、だんだん合うようになります。
しかし描いている内に、新しい発想が加わったり、展開が思わぬ方向に変化したり、それが思った以上に効果が
あったりする場合もあります。しかし逆にそれがいたずらして完成に持っていかれず、失敗作となる場合もあります。
画家は見てくれる人達、誰もが笑顔になってくれて、心が癒されました、感動しました、といってくれるのを
期待してます。
この無から有を生み出す作業は簡単ではありません。
生みの苦しみをたっぷり味わうことになります。試行錯誤の連続でしっかり悩んで、苦心惨憺して作品を仕上げて
いくのです。
それが評価され、笑みを浮かべて喜んでいただける作品になれば無常の喜びとなるわけです。
無から有を生み出す作業に携わっている人は絵以外にもたくさんおられます。
芸術家はほとんどそうですし、小説家もデザイナーも建築、土木、工業デザインなどの設計士、デザイナーも
みんなそうです。
その道で表現力に優れたひとがプロとして生きていけます。
いずれにしましても完成するまでの工程は厳しく辛いものです。
完成するとその達成感を感じ、喜びを覚えるのです。
できれば自分らしいオリジナリティーが欲しいです。自分本来のオリジナリティーは何だろうか。
もう一度見直して、自分を見つめ、それを制作に生かしていく。
もしそうした独自性が評価されれば、さらに一段とレベルの高い芸術作品を生み出すことになります。

自分の楽しさを見る人にも与えることも大事です

本来、絵は見て楽しむものです。描いた人の感動を人に伝える役目もあります。
絵は自分だけが楽しめればよい、別に人に見てもらえなくてもよい。こういう人もいます。
そういう人は一旦脇に置いておきましょう。
人に自分の作品を見てもらって、楽しんでもらう。自分の感動を伝えるということ。
そのために絵を発表する、展覧会に出品することです。
美術展覧会では多くの人達が観覧に訪れます。
絵を描く人達が自分の絵画力を上げるために勉強のつもりで来ている人もいますが、
ほとんどの人は絵を楽しむためにわざわざ来ています。
鑑賞に来て、何か1点でも、あの絵はよかった、感動した、おもしろかった、ということを
感じてもらえればいいわけです。
小さいグループ展では画家のお互いの研鑽の場であると同時に地域の人達と一緒になって
絵を楽しむ機会となっています。
又、当然訪問者から質問もされますし、批評もされます。それが出品者のレベルアップに
役立っています。見る人の心を和ませ、そして豊かにすることができます。
これがグループ展の醍醐味でしょう。
見る人に楽しんでもらうためには工夫も必要です。
ともすると、自分たちの作品を勝手に並べて、お好きなように見てください。
という展覧会が多いのですが、楽しんでもらう事に少しポイントをおいて、絵の並べ方や高さ、
キャプションの書き方などの会場設営に気を使う。
又、来訪者と画家が気楽に話ができる雰囲気作り、画家が常駐して来訪者に話しかける姿勢。
なども大事な事です。
こうした事で相乗効果で見る人もより楽しく感じてもらえる場所作りとなります。

楽しさをもっと感じるためにグループにはいりましょう

絵を描いていて、苦しい思いをするときがよくあります。
筆が止まって描けなくなって、苦しくなって行き詰まってしまうからです。
パレットの上に絵の具を載せて、さあ描こうと思っても、そこから筆を持ったまま、先に動けないのです。
そんなとき、グループの仲間が手をさしのべてくれるのです。次に進むべきポイントを指摘してくれます。
何気なく気楽に言ってくれます。
客観的に本人が気がついていないことなどを、指摘し合うのです。
又、筆が止まって前に進めなくなったとき、悩んでいるとき、意外と本人の内面的な理由による場合もあります。
絵以外の家庭のこと、仕事のこと、男女関係のこと、など人はとにかく悩みが多い。
絵に集中しようと思っても、そういった雑念が頭をよぎり、絵に専念できない。よくあることです。
そんなときにもグループの仲間から、どうしたの、と声がかかる。雑談でもいい、話をしながら、心を落ち着かせる。
そんな場面はいっぱいあります。
もちろん、誰にも干渉されたくない、誰にも評価されたくない、自分独自の手法で、自由勝手に絵を描きたい。
そういう人もいっぱいいます。それはそれでよい、楽しければ別に問題ありません。
グループに入いれば絵がもっと楽しくなります。
最大の長所は仲間から客観的に自分の絵を見てもらい、自分が気がつかないでいるところを指摘してくれることです。
絵はどうしても独りよがりになり易い。こうしたことをお互いに気楽に指摘し合うことにより、楽しさも倍加します。
最近は絵画教室や絵のグループが大分増えました。新聞に募集広告がよく載っています。
初心者を対象にした教室もかなりあります。
一度試しに教室を覗いてみるのもいいかと思います。

感動は年とともに変化する

感動は絵の原点です。
感動がなければ何も進みません。何も生まれません。
感動が絵を描きたい、という体内のエネルギーに灯を点すのです。
小学生や中学生の感動は旺盛です。雪を見て感動し、飛行機に乗って感動し、新しいことや経験でことごとく感動がありました。
しかし年を重ねると三無主義に陥ってしまいます。無気力、無感動、無関心となっていくのです。
現代人は忙しい、廻りが動いていても気がつかない、通り過ぎていっても、忙しいから変化に気づかないのです。
年とともに経験を積んできていますから、世の中のことは大抵のことでは驚かない、感動もない。
では年をとるとみんな三無主義にになってしまうかといいますと、決してそうではありません。
脳科学者の茂木健一郎氏の書で、感動する脳というのがあります。
人間の優れた脳の働きは直感的判断力だといいます。それを磨くためには感動が重要な役割を果たしている。
と主張してます。
まさにその通りです。気に入ったモチーフをパッと見て、これはいけそうだと感じる直感的な判断力は感動があって
はじめて成立するものなのです。
感動することを止めてしまった人は生きてないと同じことです。
しかし感動の形とか内容は年とともに変化します。
若いころは向こうから感動の対象がやってきました。しかし年とともに、自分から探して、出かけていって挑戦
しなくてはなりません。
1歩前に出て、絵や音楽、スポーツ、カラオケでもいいです。
なるべく右脳に働きがけるような事に挑戦しましょう。
それが年相応に感動する機会を増やすことになります。

イメージトレーニングの仕方

イメージトレーニングは、ぼんやり瞑想することではありません。
対象を、そして構図を決め、完成した絵を頭の中で思い浮かべる。 その頭の中にイメージした完成した絵に向かって、どのように取り組むか、どういう工程で進めていくかなどをある程度明確にして、そこに向かって効率的に努力していくための手段です。
このモチーフの訴求ポイントを頭の中で形成しておかねばなりません。

ある風景を見て、この構図はおもしろいモチーフだと思って、頭の中で完成した絵を描いてみる。しかしどうも訴求力が弱いと思ったら、その構図は断念するしかありません。 これはいい絵になりそうだ、頑張ろう、というエネルギーが貧弱ですと頓挫するか、完成してもつまらない絵になります。

風景を見て、静物を見て、完成までの道筋をある程度想像することがイメージトレーニングです。上達してくると、効率的なモチーフの選択ができるようになります。

絵を描くときにイメージトレーニングはすごく大事です。
何度も繰り返していく内に、いいモチーフ、絵にならないモチーフの の選択が瞬時にできるようになります。

このイメージトレーニングはスポーツの世界でもよく取り入れられています。目標を決め、そこに到達するにはどのような訓練方法を選択するか、どのような手順で達成するかをあらかじめ頭の中で 想像するのです。そして到達したときの自分を思い浮かべて、その工程でひたすら努力するのです。

絵の勉強は高い山に登るがごとし

絵を描くことは本当に楽しいことです。
しかし、長く続けていくと、楽しいことばかりではありません。辛いこともいっぱいあります。
もう止めようと思うこともあるでしょう。
それは山に登るのと同じです。最初は体に負担が少ないですから、風景や木々や、あるいは野鳥や花などを見る余裕
がありますから楽しいです。爽快さがあります。
やがて登山道は角度を増し、体にこたえてきます。汗をいっぱいかきます。心肺機能がフル回転して、だんだん辛くなります。
風景なんか見ている余裕はなくなります。辛く辛く厳しい道程に耐えて、ただひたすら耐えて歩きます。
そしてやがて山の頂に至る。あたりを見渡すとまさにそこは絶景、言葉もなく感動します。
自らの足で登った人だけに与えられるごほうびです。疲れや、辛さが一瞬に吹き飛びます。達成感と満足感で感動するのです。
絵の勉強も同じです。勉強することにより、次々と興味が広がり、新しい世界が見えてきます、
最初は好奇心と多少ある絵心で絵を描きはじめる。人よりはうまいと言われて、描いている内にさらに絵を描く力が上昇
します。
そんなときに他の人の絵や美術展などの作品を見て、愕然とします。自分よりうまい人がこの世にいっぱいいることを知って。
それもとてつもなく、自分の技量をはるかに超えた上手い人がいっぱい。
打ちのめさせられます。ここで絵を続けるか、己の下手加減を知って、きっぱり止めるか。上るか下山するかです。
しかし、やっぱり好きだから、と絵を続けます。本格的に勉強します。デッサンから構図や色や技法について基礎から勉強します。
辛い辛い毎日です。モチベーションがどんどん下がってきます。描いた絵は評価されることなく、おもしろくもない作品ばかり
です。
こんなときは1度絵から離れて、一定の期間を置くのもいいでしょう、休憩の時間です。
絵の勉強は客観的に自分の絵を見る力も大事です。
自分らしい個性のある絵は大変重要ですが、ひとりよがりで人から無視されるような絵ではおもしろくありません。
一息ついたら、歯を食いしばって先に進みます。やがて自分の本当の自分の絵が見えてきます、評価の数も増えてきて、
充足感を感じるようになります。そこが最初の頂です。
そこから又新たな挑戦がはじまります。挑戦は果てしなく続きます。

自分の個性を見つけましょう

個性を持て、とよく言われますが、それは自分らしくありなさい、という意味で、決して他人と違うこと、目立つこと、
をしなさい。という意味ではありません。
個性を見つけることは結局自分らしさを見つけることです。
個性がない人は1人も居ません。
自分は何をしているときが一番楽しく、どういう状態にあるときが一番安心するのか。背伸びせず、自分に合った生き方を
見つけることが個性を生かすことです。
とは言っても、多忙な日常、世知辛い世の中にあって、自分を見つめなおす、個性を見つける、などのことは、なかなか
難しいのが実状かもしれません。
しかし、ちょっと立ち止まって、人生を振り返り、自分を見つめることは、先に人生を進める上において、大事なポイント
ではないでしょうか。
絵の世界で自分の個性を見つける簡単な方法があります。
誰もがネタにしそうな平凡はテーマ、例えばバラや果物の絵、こんな絵を描いてみる。
但し、人が描いた画集や教則本などは一切見てはいけません。自分勝手に自由に描きましょう。
完成したら、インターネットでも高名な画家の絵でも画集の絵でもいいですから、比べてみてください。
そうすると自分の絵の特徴がよく分かります。
何が違うか。色か形か、構図か雰囲気か、描き方か。
うまいか、下手か、それはどうでもいいのです。自分の傾向がつかめればいいのです。
それが個性です。
できれば、何回も繰り返して描いていきますと、さらに個性が鮮明になってきます。
その個性を自覚しておくことは絵を描くためには、自己主張するためには、すごく大事なことです。
自分は自分しかなれない。なろうとするのではなく、すでになっているのです。
それが個性です。
しかし、それを自分が分かっていない人が多い。
それを見つけること、本当の自分のものですから、つまり自分の素質なんです。
それを有効に使う、生かすにはどうしたらいいか。それを考えるのが次のステージです。

感受性が豊になります

ハイキングの途中、なにげなく見ていた風景、突然足が止まって、鳥肌が立つような感動を覚えた経験はありませんか。
美術館に行ったとき、ある絵の前に立ったとき、その絵に釘付けになり、食い入るように見て感動した経験はありませんか。
他の人は何事もないように通り過ぎていくのに自分だけが強烈な感動を覚える。
これが人並み以上に感受性が豊かで強い証拠でしょう。
別に風景や絵画だけでなく、コンサートに行って演奏の途中で突然感動して涙が止まらない。講演会などで講師の話の途中で
感余って涙する。これらも感受性の豊かさなんでしょう。
感受性とはアンテナに似ていて感受性の強い人は、なにげなく道を歩いていても様々な生命の息吹に心が反応する性質の
ことです。
他の生命からいただけるエネルギーの量が大きいということです。
綺麗なものを見て、素直に綺麗とお思う心、何気ない日常でも常に新しい刺激を受けられる性質です。
子供が大人より何倍も感受性が鋭いのは、こういうことの吸収力がすごいのです。
では大人になってから感受性って豊かにすること、できるだろうか?
もちろん誰でもできますが、少し意識的に行動する必要があります。
風景や絵画を見たとき、いったん自分の価値観を脇に置きましょう。この価値観が邪魔です。
大人は長い経験により、その人なりの思い込みがあります。これが邪魔なんです。
ちょっとでもいいな、と思った風景や絵画。ちょっと思っただけで通り過ぎないで、しっかり見ましょう。
できれば同じ風景、絵画を3回くらいみましょう。必ず新しい発見があります。感動があります。
ちょっとでも心の琴線に触れるような風景や絵画があったら、このように自分の思いこみは置いといて、純な気持ちで
観察する習慣を付けましょう。新しい発見があると、本当に楽しくなります。
絵を描くとき、この感受性はすごく大事です。

 

風景を見て観察力を高めよう

絵を描く才能というのは描く力ではなく見る力です。
つまり観察力こそが基本的な才能です。
この才能は訓練すればUPします。
一般の人は学んだことを身につけて、つまり情報とか理論とかを吸収して、
それを糧にして生活している。自分の持っている本来のものを出す努力を
しないのです。

絵を描くとその不自然さがよく分かります。
絵を描くということデッサンをするということ、その力は観察力です。
どれだけ対象を観察できているか、それが如実に絵に表れます。
細部までしっかり見ます。しかし細部だけに捕らわれていると、
全体のバランスが崩れます。忠実に描こうとすれば立体感が失われます。
光や形の整理も必要です。

大人には過去の経験や吸収した情報、思い込みで描こうとします。
クセが出来上がっているのです。

そういう習性、クセは絵を描くことにより発見することができます。
観察力がよくできていないと、しかし絵はうまい、という人はお手本みたいな絵に
なってしまう。つまりおもしろくないのです。

絵を描かなくても観察力はUPできます。
景勝地に行ったとき、すばらしい景観をみて感動します。大体みなさん写真を撮ります。
こんなとき、よく風景を見ましょう。
自分が感動しているのは何か?、形、色、配置、遠近、光、空気感、爽快感、愉快、楽しい、
見たことない経験などなど。色々あるでしょう。
それを見極めましょう。

漠然とした感動は、感動のもとを観察することによりさらに倍加した感動となります。
風景観察の醍醐味を味わうことができます。
これは絵を描く楽しさにつながっていきます。

絵は右脳の世界です

人間の脳には左脳と右脳があります。
私たちが普段使っている記憶はほとんど左脳が担当してます。
文字を文字のまま理解して記憶するのです。
単純な文字の記憶は大量には出来ません。すぐに忘れます。
詰め込み式の受験勉強がそうです。
受験が終わると、またたく間に忘れます。

右脳の記憶はイメージが中心です。いつまでも忘れることなく、
いつまでも覚えていて、いつでも思い出すことができます。
左脳は思考や論理を司る人間的な脳です。

右脳は五感を通じた感覚とか感性とかイメージ思考などを扱っています。
イメージを脳裏に描くことで活性化するのです。
右脳の記憶力がUPすると集中力がつき、表現力が豊かになります。
右脳訓練には多くのトレーニング法があります。
興味のある人はぜひ一読してみてください。

右脳は一度見たものを鮮明に映像として記憶することができます。
そしてその映像を引き出すことができます。
右脳トレーニングにイメージ画法というのがあります。
お手本の絵を20-30秒見つめます。そして目を閉じて、見た絵を
イメージします。目を開いてその絵を白い紙に描きます。
形も色も描きます。

このトレーニングは表現力が豊かになり、イメージによる記憶力が育ちます。
右脳で絵を描くことは、先入観を抜き去り、物事をありのまま観察し、
対象と対話することの楽しさを味わうことができます。