色の知識その1 色と名称(油絵具の組成)

油絵具は顔料と乾性油から作られる。
市販されている絵具は顔料と乾性油に乾燥促進剤や樹脂などの溶剤を混ぜて作られる。
油絵具はこの乾性油が酸化して硬化することにより絵具が定着する。
最近では界面活性剤を添加したものが販売されており、水で希釈することができる可水溶性絵具
も販売されている。
顔料は不溶性色素(水や油に溶けない)といって、鉱物、石油、空気などから製造される。
顔料は有機顔料と無機顔料に分類される。
有機顔料は分子構造中に炭素を含む化合物。
無機顔料は分子構造中に炭素を含まない化合物。
である。(一部例外もある)
有機顔料を構成する元素は水素、炭素、窒素、酸素が主である。
この他にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含むものもある。
無機顔料を構成する元素はナトリューム、マグネシューム、アルミニューム、チタニューム、
バナジューム、クロム、マンガン、鉄などの金属元素と、酸素、硫黄、窒素、水素、などの
非金属元素からなる。
油絵具の毒性
市販されている油絵具は通常で使用される場合にはほとんど問題はない。
がしかし知識として知っておくべき事柄である。
鉛、六価クロム、カドミウム、水銀、コバルトなどの重金属を含む有機顔料、有機溶剤は重金属障害
の原因となる。
有機顔料、有機溶剤は発がん性がある。

色の知識その1 色と名称(透明性、不透明性)

油絵具の性質として、透明性が高い絵具、とか低い絵具とかか、よく言われている。
知識として知っておくと便利である。
油絵具は乾性油が空気中の酸素と結合して固化する。
油絵具の酸化による硬化を一般的に乾燥と呼ぶ。
乾燥時間が水彩絵具より長く、数日間を要する。
透明性とは透明な性質のことであり、不透明性とは不透明な性質のことである。
油絵具は乾性油の屈折率の高さから、大体において透明性が高い。
しかし透明水彩絵具とは透明性の原理が異なるために同一ではない。
透明性の高い絵具の顔料はアリザリンレーキなどのレーキ顔料、アントラキノン、フタロシアニン、
キナクリドン、などの有機顔料がある。
有機顔料は基本的に透明性が高く、オーレオリン、ピリジャン、マンガン青、合成ウルトラマリン
などもある。
又、透明色に不透明の白色を混合すれば不透明色となる。
不透明性の顔料としては、バーミリオン、カドミュームレッド、カドミュームイエロー、
コバルトターコイズ、セルリアンブルー、チタニュームホワイト、などがある。
油絵具の黄変性について
市販のチューブ入り油絵具で、比較的に安価なものは乾燥にしたがって、絵具が黄味、赤味になる
ものがある。
白色などの明るい色は大体は芥子油などを乾性油として作られている。
但し芥子油は黄変性は弱いが乾燥が遅く、塗膜が比較的に弱い、
もう1つ、亜麻仁油を乾性油とする絵具は黄変性が強い。しかし乾燥が速く、堅牢な塗膜をつくる。

色の知識その1 色と名称(名称と意味)

油絵具は基本的に赤、青、黄色の3原色に白を含めた4色があればほとんどの色が作れます。 又、その4色のみでパレット上で好みの色を作って作品を作っている画家もいます。

一般的には原色、混色、合わせて200種類以上の色の種類からモチーフに合った、又は 自らの感性や好みで選択して描くことになります。

とてもここでは全ての色の紹介はできませんが、代表的な色のみを紹介します。 ここのあげる代表的な色を知って、徐徐にその前後の色も覚えて、使い方を勉強して欲しい。 絵具は赤系統のものが最も多く、緑系統がそれに続きます。

赤系統
クリムソンレーキ:青みの強い透明な淡紅色
カドミュームレッド:明度彩度が強い、不透明な色
バーミリオン:朱色、日光が当たると黒ずむ、硫化水銀でできている、価格高い

紫系統
コバルトバイオレット:コバルトを使った透明な赤味のある紫色、価格高い
ミネラルバイオレット:鉱物性の紫、燐酸マンガンを使用、毒性あり

黄系統
パーマネントイエロー:普通の黄色、耐光性高い、価格安い
カドミュームイエロー:硫化カドミュームからできている

青系統
コバルトブルー:アルミン酸コバルトが主成分、丈夫な色、価格少し高め
セルリアンブルー:紫味のない空色、錫酸コバルトからできている、丈夫な色、高い

緑系統
ピリジャン:透明で鮮やかな冷たい緑色
コバルトグリーン:青みのある半透明な色、酸化コバルト、酸化亜鉛からできている

茶系統
ローアンバー:緑かかったこげ茶色
バーントシェンナ:赤味かかった透明な茶色

白系統
パーマネントホワイト:従来のホワイトの毒性や混色制限を改善した色

黒系統
アイボリーブラック:着色力の強い暖色系の赤味の黒、乾燥遅い

色の知識 その2 3原色

色の3原色は光の3原色と絵具(物体)の3原色があります。
混色は加法混色と減法混色があります。

光の3原色RGBと加法混色

光の3原色は赤(R)、青(B),緑(G)の3色です。
3色全部合わせて混合すると白色になります。
色を混ぜ合わせると、色々な色ができます。

光の3原色の混法は加法混色です。 これであらゆる色ができます。 加法混色とは光の足し算が原理となる混色。足すという意味です。 混色した後の色がもとの色より明るくなる性質があります。

加法混色の3原色は色光の3原色とも呼ばれ、RGBで表します。
加法混色の3原色の内、2色を混ぜ合わせると

  • 赤(R)+緑(G)=黄色(Y) 濃淡によって無限の色ができます。
  • 緑(G)+青(B)=シアン(C)緑味の青
  • 青(B)+赤(R)=マゼンタ(M)赤紫

絵具(物体)の3原色CMYと減法混色

絵具(物体)の3原色は緑味の青(シアン)、赤紫(マゼンタ)、黄色の3色です。CMYと表します。 混色は減法混色といいます。光の引き算が原理となる混色です。  
混色した後の色は加法混色とは違い、もとの色より暗くなります

減法混色は絵具や塗料など、色そのものを混ぜ合わせることです。
減法混色の3原色の内、2色を混ぜ合わせると

  • 黄色(Y)+シアン(C)=緑(G) 濃淡によって無限の色ができます。
  • シアン(C)+マゼンタ(M)=青(B)
  • マゼンタ(M)+黄色(Y)=赤(R)

ここでできた3つの色は加法混色の3色と同じです。

色の知識 その3 色相環

色相関は配色に迷った時、便利なものです。これで大体のあたりをつけることができます。
色相関を分かり易く言いますと、雨上がりの空に見える虹です。
虹の色の順番は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色です。
これに赤紫と隣り合う中間色4色を加えて、サークル状に並べたものが色相環です。
この色の順番は
赤、赤味の橙、黄橙、黄色、黄緑、緑、青緑、緑青、青、藍、紫、赤紫の12色です。
24色相環もあります。
この並べ方は日本色研配色体系(PCCS)の色相環です。
隣り合う色の混色、中間色は無限にあります。
色の説明には都合のよいものですが、実際には言葉では説明できない色が限りなくあると
考えてください。
この色相環の使い方としては
配色の大体のあたりをつける以外にこの次の項で出てくる明度、彩度も考えながら色を決める
のに使います。
そして、その色の類似色も見ておきます。
その色の前後の色です。対象物の雰囲気を強調したいとき、雰囲気になじませたい時に参考と
なります。
又補色(反対色)といって色相環の各々反対側に位置する色同士のことをいいますが、対象物を
目立ちさせたい時に良く使われる手法です。
絵を描く人にとって、この色相環は必らず、持っていなくてはなりません。
混色を作る時の参考として、絵の雰囲気に色をどう合わせるかの検討資料として、常に使います。

色の知識 その4 明度

前項の色相環で色相について述べました。ここでは明度について述べますが、次項の 彩度と合わせて、これを色の3属性といいます。  色は明るい色、暗い色があります。この色の明るさのことを明度といいます。 これは光の反射によるもので、光を全部反射するものは白です。全部吸収してしまうものは 黒です。 油絵具の場合は、色を明るくするために白を加えますが、水彩画の場合は水で薄めると 明るくなります。 又、絵具そのものにも固有の明度があります。 明度を表すのに便宜的に10進法が用いられます。白は9.5 黒は1とします。 レモンイエローが最も明るく9.0です。 カドミュームイエロー、7.5 イエローオーカー、オレンジ、グリーンが6.0です。 ウルトラマリンは2.5です。

明度と彩度という形で説明すると分かり易いかもしれません。  明度が高く、彩度が低い レモンイエロー等の黄色は明度が高いです。 赤、紺、藍色は明度が低い色です。 彩度は色の鮮やかさのことです。絵具の場合は灰色が混じっているかどうか、ということです。 灰色を混ぜると、濁った色になります。 灰色の量を増やすと明度は高いが、彩度は低い色になります。  明度は低いが、彩度は高い 赤、紺、藍色がそうです。黄色よりも暗く見えます。 彩度が高いということはなにも混ざっていないということです。純色です。 青は明度が低く、彩度は高い色ということになります。

色の知識 その5 彩度

彩度は前項で述べたように色相、明度と合わせた色の3属性の1種です。 彩度は色の鮮やかさの尺度です。 英語ではSATURATIONといい、飽和度と訳します。つまり全体の明るさに対する色味の 割合ということになります。 従って、白の彩度は0であるが、単色光の彩度は必ずしも1ではない。 彩度を上げていきますと、カラフルで鮮やかな色となります。 彩度を下げていきますと、カラーのない白黒になります。 有彩色、無彩色という言い方に変えることもできます。 有彩色は文字通り色がある、カラーがある色です。 無彩色はカラーのない、白黒、灰色(最も鮮やかさのない色)のことです。 昔の白黒テレビの無彩色の世界です。

同じ黄色でもレモン梨を比べるとよく分かります。 レモンはあざやかな黄色で、梨はにぶい色の黄色です。 このように鮮やかさに違いがあります。 絵具などでは絵具の色が冴えすぎている場合は白を少量混色して調子を落とします。 逆に鮮やかさや透明感が欲しい場合は、むやみに混色しない方がいいです。 赤系統の色でも日の丸は鮮やかな赤ですが、レンガ色はくすんだ赤色です。 うぐいす色はくすんだ黄緑ですが、初夏の若葉は鮮やかな黄緑です。 このように、彩度は絵画の雰囲気つくりに重要な役割を持っています。

 

色の知識 その6 補色

12色の色相環で、向かい合う正反対の位置にある色の組み合わせを補色と言います。 反対色ともいいます。  赤ー緑  赤橙ー青緑  橙ー青  黄橙ー青紫  黄ー紫  黄緑ー赤紫 この補色の関係の色を並べると、明度、彩度の低い方が高い方を引き立て、色彩が際たちます。 同明度、同彩度を画面に並べると、色同士がケンカする場合があります。 調和した色合いにならない、ということです。 補色の色同士を混ぜると、色相が変わらず混色したグレーに近づいていきます。 例えば  赤+緑=混色したグレイ  橙+青=混色したグレイ   黄+紫=混色したグレイ この混色したグレイを補色関係にある色の影に使うとよく調和します。 例えば 赤い花とその緑の葉、その影にこの混色を使う。

絵を描く時、この補色の関係、効果は知っておかねばなりません。 そして各色の前後の類似色と混色のハーモニーで絵が構成されます。

全く正反対の特性を持つ補色は互いに色を際たたせ、強調する作用があります。 例えば ゴッホの有名な「夜のカフェテラス」 照らされて黄色く、そしてオレンジのカフェテラス、夜空は青色です。 補色をうまく使っています。 静けさの青、暖かいカフェテラスの黄色で雰囲気が強調されています。 ゴッホは黄色やオレンジの印象が強いですが、青色の使い方にゴッホの魅力があるのかも しれません。

色の知識 その7 混色

私たちが日頃見慣れている自然界の中にあるもので何々色と呼べるものは非常に少ない と思います。 ほとんどが中間色、つまりグレートーンの近くにあります。 そのグレイの中に色味を見せることが絵を描く時にとても大切です。(色味とは中間色の 中に感じ取れる色のこと) 色の組み合わせにはいくつかの注意点があります。 思い通りの色が出ない、発色が悪くなってしまう、という場合は必ず原因があります。 色を美しく見せるためには必要な基本的な混色と組み合わせのルールを知らなくてはなりません。 発色のよい混色のルール 色相環から赤と青を混色すると紫が作れます。 くもった紫になります。これは赤にも、青にも紫の補色である黄色味が含まれているからです。 それでは紫寄りの赤と紫寄りの青を混ぜます。 すると鮮やかな紫が作れます。 もう1つ 紫と緑を混色すると青ができます。 やはりくもった青になります。これは紫にも緑にも青の補色である橙が含まれているからです。 青寄りの青紫と青寄りの青紫を混ぜると鮮やかな青が作れます。

色は美しく見える組み合わせと、そうは見えない組み合わせがあります。 明度や彩度を揃えて、美しく見える組み合わせにすることを、トーンを合わせる、と言います。 トーンが揃わないと、人の目の網膜の中の明暗を見分ける細胞が働き、色を感じしにくくなります。  他にも色の組み合わせのルールとして バルール(色価)を合わせる どんな色でも2色並べると、どちらかが手前で、どちらかが奥に見えます。 この奥行きの位置を揃えることをバルールを合わせるといいます。 色の厚みで変わる発色 同じ色でも、厚塗りか薄塗りかでまるで発色が変わります。 目は絵の表面を見ているようで、実は量も感じているのです。

色の知識 その8 暖色、寒色

暖色の色は膨張色、進出色ともいいます。それに対して、寒色系の色は収縮色、後退色 といいます。 色相環で見ると、橙と青が暖色、寒色の中心となります。 赤紫と黄緑はその中間の色ということになります。 ですから、色は橙に近くなれば暖かい色になり、青に近づけば冷たく感じられる色となります。

色も温度感のようなものがあります。視覚と触覚とは本来別の感覚ですが、色によっては 暖かく感じるものと、冷たく感じるものがあります。これを色の温度と表現することができます。 寒色系の配色の部屋と暖色系の配色の部屋では体感温度が3℃くらい違うという実験結果が あります。これは暖色系の色は炎や太陽を寒色系の色は水や氷をイメージさせるからだといいます。

絵を描く時に必要な知識として 視覚的なイメージとして、冷たい色は、つまり寒色は後退して感じられるのに対して、 暖色系の色は前進して見えます。 これは絵を描く時の基本の1つです。 遠くの山を青味のある色で描くと遠くに見えるのはそのためです。

暖色系の色は血圧や心拍数を高め、自律神経を刺激し、性欲や食欲を増大させます。 寒色系の色はその逆に作用します。 そのため飲食店や料理の本などでは、料理をおいしく見せて、食べたいという欲求をうながす ために暖色系の配色が適しています。 しかし上手に使えば、寒色系の色でも、野菜や魚などを新鮮に見せる効果もあります。

色の知識その9 色使いのルール

油絵を描く上において、色使いには基本的なルールがあります。 こうしなければならない、というものではありませんが、絵を描く時の基本的な知識として 知っておきたい事柄です。 混ぜる絵具の量を変えることで、色の数は無限に作れます。 絵具の数を増して混ぜると限りなく黒に近づきます。 たくさんの混色は濁りの原因となります。 混色は3色までとしましょう。 白を混ぜると明度は高くなって彩度は落ちます。 補色同士を混ぜるとグレーになることを使用して、ある色を少し渋くしたい、深みを出したい。 と言うときはその色の補色や反対色を混ぜるのがポイントです。 黒は色味を無くさせ、混濁の原因となりますので要注意でし。

描きだしは明るく、淡い色から 油絵具は重ね塗りが自由です。完成するまでにたくさんの色がキャンバス上で重なり合っていきます。 着色力が強く、他の色に影響しやすい色や、混色した色を描き出しから使うと、描き進める内に 画面全体の色調が鈍くなったりします。 明るい色、濁りのない色から描きだして、少しずつ濃く、そして層を厚くしていきます。

コンポーズ系の色は単独で使用しましょう コンポーズとは調合された、という意味です。既に3色以上の色が混じっています。 他の色を混ぜると、色の鮮やかさがなくなり、濁りの原因となります。 ジョーンブリアン、ネーブルスイエロー、コーラルレッド、ブリリアントピンクなどがあります。

絵具層の乾きを待つ 油絵具は乾くまで時間がかかります。 下の絵具が乾かない内に次の色を重ねると、キャンバス上でたくさんの色を混色していると同じ結果 となります。濁ります。 絵具の表面を軽く指で触って、絵具が指に付かない、生乾き状態が重ね塗りのベストタイミングです。

色の知識その10 色の不思議

白と黒と赤の不思議 絵から少し離れて、色の世界の話をします。 白、黒、赤の三色は死や生成や誕生といった生命現象と結びつき原色の色と言われています。 白は誕生のシンボルです。清浄無垢な色としての白は花嫁が結婚を報告するために白無垢を 付け、けがれを清める色として明治以前から日本では白を喪色としてきました。 白のイメージとして良いイメージは清浄、神聖、潔白、真理、理知的という言葉がみつかります。 悪いイメージでは空虚、頼りない、冷たい、薄情、無意味などの言葉が連想されます。

では黒はどうでしょう。 黒は全ての光を吸収します。目に光が届かないため色を感じることができません。 光が欠乏した色、異端な色です。 目に視神経を刺激する光の波が入ってこないので視神経が何の反応も示さず、無彩色、つまり 黒に見えるのです。 黒には癒しの効果があります。 黒は疲れた人には休息の色です。 白を見ると、刺激が強く、体が緊張しますが、黒には刺激がありません。興奮がほぐれ 心身ともにリラックスします。 黒の良いイメージは力、自律、絶対的、厳粛、などの言葉が連想されます。 悪いイメージでは死、不安、陰気、悪、孤独などの言葉があります。

赤はどうでしょう。 赤は熱く、力強い色です。赤は使い方によって毒にも薬にもなります。 赤は体内にたぎる血の色、祝いや喜びの色です。 赤は積極的で動きのある色、強い力を持った色です。 うまく使えば行動力の源となり、行き過ぎると有害な色です。 赤い薬は興奮作用があります。トウガラシ、ジャコウなどがそうです。 赤の効能は冷たいものを温め、中和する働きがあります。 又エネルギーを補うこともできます。

色の知識その11 わき道 絵を学ぶということ

よく絵を描き始めた人から基礎がないから不安です、という人がいますが、大切なことは 絵を描きたいという強い気持ちです。描いている内に必ず技術的な壁にぶつかるでしょう。 そのときになって必要な技術を学びますとしっかり身につきます。 基礎は後からでもいいのです。 絵を学ぶのに2つの方法があります。 1つは自然から学ぶということに徹して、目に見える世界を忠実に再現することです。 忠実に見えてる世界を描いていると、正しくものを見てる、という実感が湧くようになります。 この実感がより深く絵の世界に入っていく原動力となります。 見えている、と言う言葉には理解ができている、と言う意味があります。 忠実にモチーフを描いていると、やがて目に映らないようなものを描こうと思うようになります。 温度、湿度、重さ、硬さ、質感、匂いなどです。 これらは目には見えません。しかし何を描きたいかの答えを出すためには重要な表現対象です。 そして2つ目は自分自身がいいと思えるような絵を描くことです。 目に映っている対象物は視覚だけでなく、音や、匂いや手触りなどと一緒に認識されています。 これらを視覚だけでなく、これに補う形で、色や形を工夫して目に見えるようにすることが 絵を描く意味になり、本当に自分自身が表現した絵ということになります。 風景画を描く時の空気感とはこういうことです。  よい作品とは作者の気持ちが込められた、作者らしい世界観が描かれたものです。 いわば、作品は作者の分身のようなものです。