14)日本の洋画黎明期の画家たち その13 渡辺幽香

その13 渡辺幽香

渡辺幽香は1856年(安政3年)江戸久留米藩邸内で生まれる。1942年(昭和17年)没。 洋画家(洋風画家)。父は五姓田芳柳、兄に五姓田義松がいる。 本名勇子、明治15年頃から幽香を号とする。 明治9年(1876年)同門の渡辺文三郎と結婚。渡辺幽香を名乗る、 父親の工房で兄義松から洋画を学び、、明治10年(1877年)第1回内国勧業博覧会に油絵「人物図」 「野州霧降滝図」を出品し褒状を受ける。明治23年(1890年)の第3回内国勧業博覧会でも 「五姓田芳柳像」で褒状を受ける。 肖像画を多く描いたが、明治17,8年ころから版画に興味をもち、銅板師松田緑山に学んだ後、ビゴー風 (ジョルジュ、フェルディナン、ビゴー フランス人の画家、漫画家。明治時代の日本で17年間にわたり 活動を行い、当時の世相を伝える多くの絵を残したことで知られる)の西洋人好みの日本風俗を描いた 版画集「大日本帝国古今風俗陰漫稿」(石版、1886年)を緑山のもとで制作、外国人向けに販売する。 その後も日本の風俗を描いた「大日本風俗漫画や「日本かがみ」などを発表する。 又、長年華族女学校の画学教師を努めた。 1893年、シカゴ万国博覧会に「幼児図」を発表した。臼に縛りつけられながらも蜻蛉を採ろうと這い出す。 したたかな表情の赤子はこれから世界の舞台へ押し出そうとする新興国日本をくしくも象徴している。 代表作は犬吠崎海岸は東京国立博物館に、五姓田芳柳像は東京藝術大学に、幼児図は横浜美術館に、それぞれ 所蔵されている。