19-20世紀の美術運動 その9 プリミティヴィズム

その9 プリミティヴィズム

プリミティヴなものを尊重する美術思想。現在プリミティヴという言葉は3通りの意味がある。 1、西欧文明と異なる世界の芸術。 2、ルネッサンス以前の芸術。 3、素朴派の芸術(主として19世紀から20世紀にかけて存在した絵画の一傾向のこと。ナイーブアート)。 プリミティヴィズムはこのうち、2の視点から興ったものである。 これは19世紀のヨーロッパにおいて、盛期ルネッサンス以前のイタリアの美術家および15世紀のフランドル やフランスの画家に対し、自然主義的な再現や理想美の体得が完全に行えていないものである、という理解を もとに、彼らは西洋における美術の歴史的発展における初期の段階であると考えたことによる。 また近代美術においては印象派や後期印象派が1、の意味において、日本の浮世絵や南方諸島の美術を、 さらに20世紀のキュビズムやフォービズムなどにおいては黒人彫刻やオセオニアの原始民族美術への関心 というように展開している。 現代においては3、や精神障害者の作品、子供の作品などの美術制作活動も含み、人間の原点まで遡って 考えようとする姿勢となっている。 *フォービズム=20世紀初め、フランスの画家たち(マチス、ルオーなど)が始めた画風で原色的な色彩 豪放な筆使い、太い描線が特徴。野獣派。

2014年7月22日 19-20世紀の美術運動 その9 プリミティヴィズム はコメントを受け付けていません 19-20世紀の美術運動