19-20世紀の美術運動 その7 オリエンタリズム

その7 オリエンタリズム

オリエンタリズムは元来、特に美術の世界において、西ヨーロッパにない異文明の物事、風俗に対して抱かれた 憧れや好奇心などの事を意味する。西洋史や美術史などでは東方趣味、東洋志向などと訳されていた。 しかしながらパレスチナ出身のアメリカ批評家エドワードサイードの著書オリエンタリズム(1978年)に おいて今日的で新たな意味がこの言葉に付与された。 サイードは歴史を通して西ヨーロッパが自らの内部にもたない異質な本質とみなしたものを「オリエント東洋」 に押し付けてきたとし、東洋を不気味なもの、異質なものとして規定する西洋の姿勢をオリエンタリズムと呼び 批判した。 オリエント、東洋、東洋的とは西ヨーロッパによって作られたイメージであり、文学、歴史学、人類学など 広範な文化活動の中に見られる。 サイードによれば、それはしばしば優越感や傲慢さや偏見と結びつくばかりでなく、欧米の帝国主義の基盤とも なったとされる。 オリエンタリズムの一種として、東洋あるいは自らよりも劣っていると認識される国や文化を、性的に搾取可能 な女性として描く、といった傾向も指摘されている。 例えばハレムやゲイシャ、ミズサイゴンやディズニー映画ポカホンタスなどにオリエンタリスティックな視点 が見られる。