9)色々なマチエール その5 マチエールをジェッソで作る

モチーフに合わせて、ジェッソでマチエールを作ることが可能です。
ジェッソは現代的な地塗り材です。油絵に最も適しており、又相性もよい。
画材屋で簡単に入手出来、多くの種類があります。ごく一般的な下地処理材でしょう。
ジェッソは地塗りに適し密着性が高く固着力があり発色、なじみ、色沈みがありません。
ジェッソは下地塗りの画材としては幅広く使えます。
キャンバスやボード以外にも、板や紙、石やコンクリート、金属、ガラスなどにも対応可能です。
ジェッソは速乾性ですので指触乾燥までの時間が非常に早い。従来のファンデーションやオイル
カラープライマーと比較するとよく分かります。
このジェッソを使って砂や石を混ぜ込むことや、布などをキャンバス等に貼り込むコラージュ
技法がジェッソの強い糊効果によって、極めて効果的なマチエールができます。
又、平らなマチエールが欲しいときはキャンバスの目や板の目をフラットタイプで仕上げます。
さらに平滑面に仕上げる場合はフラットタイプに水を加えて流動性を与えて仕上げます。
そしてサンドペーパーで磨き上げます。
ジェッソを使っての表現手法(他にも色々あります)
ジェッソの硬練りでナイフエッジを使う
ジェッソの硬練りで筆跡を残す
ジェッソの硬練りで布や小石を貼り付ける
ジェッソの硬練りで砂を混ぜてざらつきのある絵肌にする
ジェッソの硬練りで櫛目を付ける
ジェッソの硬塗りでローラーで模様をつける
などなど。

9)色々なマチエール その4 マチエールは大事な要素

絵画においてマチエールは非常に大事です。
しかし具象画を描く限り、あまりにマチエールにこだわりますと、絵が成立しなくなります。
どういうことかといいますと。
それは絵を描くにあたって、マチエールのほかにカラー、フォルム、ヴァルール、遠近、立体、
空気、点、線などの意識が必要となるからです。
マチエールにこだわり過ぎて画面のある場所のある種のマチエールとして絵具を盛り上げた、と
します。
一箇所だけでは絵になりませんから、他の場所にもいくつかの調和と安定と変化で盛り上げた
とします。
しかしその盛り上げが最後の完成まで生き続けていけばよいのですが、製作中には必ず変化が
伴いますので、削り取って、他の場所に盛り上げることもします。
これが製作中の心持に影響を与え、不自然な疲れとなります。
絵の制作には心の持ち方が大切ですのでこのような不自然さは絵の制作にはよくありません。
マチエールは大切ですが、メインではなく、あくまでも付随するものと考えるべきです。
油絵はもともと塗るというよりは付けると考えた方が正しいでしょう。
マチエールの表現手法として、絵具の乾きが遅いのでペンティングナイフで削り取ったり、
画面をかき回したりすることができます。ペンティングナイフそのもので描くこともできます。
油絵は自然に厚塗りになる要素が強いようです。
ごつごつした、とげとげした、ざらざらした質感のマチエール、感性のおもむくまま表現できる
利点があります。

9)色々なマチエール その3 マチエールの解釈

油絵はごつごつしたマチエールになりがちですが、このような絵肌だけがマチエール
ではありません。
アクリルのように薄く塗り重ねて得た絵肌も味わいがあります。
マチエールの一般的な解釈は質感です。
具象画を描く限り、質感が大事な要素となります。
石のような硬いものは硬く、雲のように柔らかいものは柔らかく、花は花の質感、水は水の
質感など、物には様々な質感があります。
ここで気をつけたいことは、石を表現するのに石そのものの質感を表現すれば済むものでは
ありません。石に光が当たり、様々な表情や色や形があります。それを画家が感じ取って
描くのであるから画家の石になります。
石というのは言葉であって石というより硬い塊がそこにあるのです。
画家は画面の構成上、その固い塊を自分なりにデフォルメすることを要求されるでしょう。
何も同じに描く必要はないのです。
どんなにデフォルメされていても、その塊は硬い面積を有してなくてはなりません。
石を描くのでなく、石の塊を描くのです。
それが質感です。雲も花も水も同じです。
マチエールはこのように解釈できます。
マチエールをただ単に絵肌として見るだけでなく、画家が描いた絵のテーマに沿った、自然で
抵抗なく受け入れられるような、テーマとの必然性を見ることも大事です。

9)色々なマチエール その2 マチエールの注意点

絵具に色々な材料を混ぜてもいいのですが、混ぜるものは安定していて、絵具に影響を
与えないものを選ぶべきです。
市販のマチエール材料を使えばだいたい安心ですが、洗ってない海砂などを混ぜると、砂の
塩分が吸湿して油絵具の塗膜を劣化させたり、アクリルだと粘土調整剤の機能を低下させます。
又、接着剤の役割をするのは絵具そのものです。
絵具は顔料の接着に必要な程度のバインダーしか含んでおりませんから、マチエール材の
混入によって接着剤不足になることがあります。
やや多めのマチエール材を混ぜるときは油彩ならアルキド樹脂のメディウム、アクリルなら
アクリルメデイウムを補充して接着力を補ってください。
一般的にマチエール材を絵具に混ぜて使いますが、混ぜるのではなく下地の絵具にマチエール材
を撒き散らして、下地が乾燥した後、その後上から絵具を引く場合もあります。
この場合は補助の接着剤を多めに絵具に入れる必要があります。
多くの画材店でマチエール材が売られています。
例えば
ネオマチエール、ストーンマチエール(方解石)(小粒、大粒)
サンドマチエール(天然砂)-シェル、シェル極小、マーブル、マーブル極小、マリン
接着剤の補助材としてのりマチエールがあります。
他にもたくさんのマチエール材があります。画材店により違ったものが売られている場合
がありますので、色々研究されたら面白いでしょう。

9)色々なマチエール その1 マチエールとは

絵画作品を見るときに、よく使われる言葉にマチエールがあります。 マチエールは作品の材料や材質、素材を意味するフランス語で、簡単に言うと絵肌のことです。 作品の手触り感、触感、質感といったらわかるでしょうか。 マチエールというと最近では厚塗りでざらざらした荒い絵肌をイメージする人が多いようです。 マチエールの作り方は色々あります、無限にあると言った方がいいでしょう。 例えば、大理石、貝殻、砂を砕いて、すりつぶして粉状にしたものを絵具に混ぜる。 ローラーを使って壁のように塗る、サンドペーパで削る、布や紙、印刷物を貼り付ける等などです。   ごつごつざらざら感とは違い、すべすべぴかぴかの画面も1種のマチエールです。 パネルの画面にまずジェッソ(下地用塗料)で地塗りし、そして耐水ペーパーでサンディング、 それを何度も繰り返す。 ペーパーの番手は最初は400番、次に800番、さらに1200番、そしてさらに1500番 とかけていきますと、絵肌はピカピカになります。 つるっとした陶器のような画面に仕上がります。

マチエールのためのマチエールになってはいけない。 現代には多くのマチエールを生み出すために、様々な技法があり、多くの人はこれをマネしています。 なかなかオリジナルを作り出すのは難しいし、骨のあることで既存の技法に頼るのは仕方ありません。 絵を描く時にはそこに一貫したテーマがなければ意味がありません。 技法だけを追い求めてはいけないのです。