色々なマチエール その6 マチエールの基本

マチエールの語は岩波西洋美術用語辞典では、物質の意味、美術では絵具など作品を形作る 物質的素材及びその質感のこと。と簡潔に述べている。 美術手帖増刊号 油絵のマテリアル(美術出版社)の中の油絵表現用語辞典で森田恒之氏は 岡鹿之助著 油絵のマチエールのまえがきを次のように紹介している。 藤田嗣治氏のすすめでサロンドートンヌへ絵を持っていった。 フランス人の絵の中に自分の絵を置いてみて、はじめて自分の絵には絵具がものを言っていない ことが分かった。 自分の絵の右隣も左隣の絵も絵具はカチッとキャンバスについて、色の張りもあり、冴えている。 だが自分の画面は指で触れればポロポロと剥がれ落ちそうだ。 私は芸術以前の単に材料の物質的な取り扱いさえ知らない点を思い知らされて茫然としたもの である。 フランスの画家たちのアトリエを訪ねてみると、油絵500年の伝統を持ちながら、めいめいが キャンバスを作ったり、絵具の練り方を工夫したり、その材料を生かす苦心の大きさに今更の ように驚きもし、又大いに勇気づけられた。 作品の中に価値を実現する技術を持つ者が創作者であるならば、創作に導く心の動きをキャンバス に定着させる技術獲得のために使用する材料の性格は知悉しておきたいものだ。

ここに紹介した文面からマチエールの本質が見える。

2014年5月2日 色々なマチエール その6 マチエールの基本 はコメントを受け付けていません 色々なマチエール