色々なマチエール その4 マチエールは大事な要素

絵画においてマチエールは非常に大事です。
しかし具象画を描く限り、あまりにマチエールにこだわりますと、絵が成立しなくなります。
どういうことかといいますと。
それは絵を描くにあたって、マチエールのほかにカラー、フォルム、ヴァルール、遠近、立体、
空気、点、線などの意識が必要となるからです。
マチエールにこだわり過ぎて画面のある場所のある種のマチエールとして絵具を盛り上げた、と
します。
一箇所だけでは絵になりませんから、他の場所にもいくつかの調和と安定と変化で盛り上げた
とします。
しかしその盛り上げが最後の完成まで生き続けていけばよいのですが、製作中には必ず変化が
伴いますので、削り取って、他の場所に盛り上げることもします。
これが製作中の心持に影響を与え、不自然な疲れとなります。
絵の制作には心の持ち方が大切ですのでこのような不自然さは絵の制作にはよくありません。
マチエールは大切ですが、メインではなく、あくまでも付随するものと考えるべきです。
油絵はもともと塗るというよりは付けると考えた方が正しいでしょう。
マチエールの表現手法として、絵具の乾きが遅いのでペンティングナイフで削り取ったり、
画面をかき回したりすることができます。ペンティングナイフそのもので描くこともできます。
油絵は自然に厚塗りになる要素が強いようです。
ごつごつした、とげとげした、ざらざらした質感のマチエール、感性のおもむくまま表現できる
利点があります。

2014年5月1日 色々なマチエール その4 マチエールは大事な要素 はコメントを受け付けていません 色々なマチエール