色々なマチエール その3 マチエールの解釈

油絵はごつごつしたマチエールになりがちですが、このような絵肌だけがマチエール
ではありません。
アクリルのように薄く塗り重ねて得た絵肌も味わいがあります。
マチエールの一般的な解釈は質感です。
具象画を描く限り、質感が大事な要素となります。
石のような硬いものは硬く、雲のように柔らかいものは柔らかく、花は花の質感、水は水の
質感など、物には様々な質感があります。
ここで気をつけたいことは、石を表現するのに石そのものの質感を表現すれば済むものでは
ありません。石に光が当たり、様々な表情や色や形があります。それを画家が感じ取って
描くのであるから画家の石になります。
石というのは言葉であって石というより硬い塊がそこにあるのです。
画家は画面の構成上、その固い塊を自分なりにデフォルメすることを要求されるでしょう。
何も同じに描く必要はないのです。
どんなにデフォルメされていても、その塊は硬い面積を有してなくてはなりません。
石を描くのでなく、石の塊を描くのです。
それが質感です。雲も花も水も同じです。
マチエールはこのように解釈できます。
マチエールをただ単に絵肌として見るだけでなく、画家が描いた絵のテーマに沿った、自然で
抵抗なく受け入れられるような、テーマとの必然性を見ることも大事です。

2014年5月1日 色々なマチエール その3 マチエールの解釈 はコメントを受け付けていません 色々なマチエール