19-20世紀の美術運動 その12 フォーヴィズム

その12 フォーヴィズム

フォーヴィズム(野獣派)は20世紀初頭の絵画運動の名称です。 1905年にパリで開催された展覧会サロンドートンヌに出品された一群の作品の原色を多用した強烈な 色彩と、激しいタッチを見た批評家ルイボークセルがあたかも野獣の檻の中にいるようだ、と評したこと から命名された。 象徴主義の画家で、当時エコールデボザール(官立美術学校)の教授をしていたギユスターヴモローが フォーヴィズムの画家たちの指導者であった。 彼が弟子たちに主張したのは、形式の枠組みの外で物事を考え、その考えに従うことであった。 主な弟子たちとは、この運動の中心人物である、アンリマティス、アンドレドランたちであった。 ヴォーヴィズムはキュビズムのように理知的ではなく、感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属する ものでなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする。 ルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別して、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した。 世紀末芸術に見られる陰鬱な暗い作風とは対照的に、明るい強烈な色彩でのびのびとした雰囲気を想像 した。 フォーヴィズムの代表的な画家はマティス、ドラン以外にヴラマンク、デユフィ、ルオーなどがいる。 又日本人画家にも大きな影響を与えている。 梅原龍三郎、岸田劉生、木村荘八、熊谷守一、里見勝蔵、三岸好太郎などなど、日本の洋画の黎明期を 支えた多くの画家たちである。