19-20世紀の美術運動 その5 シミュレーショニズム

その5 シミュレーショニズム

シミュレーショニズムは1980年代のニューヨークを中心に広まった美術運動です。 近代芸術の唯一性に反対し、大衆芸術のイメージをカットアップ(カットアップ技法といい、テキストを ランダムに切り刻んで新しいテキストを造り直す、偶然性の文学技法またはジャンルのこと)、サンプリング (過去の曲や音源の一部を引用し、再構築して新たな楽曲を制作する音楽制作法、表現技法のこと)、 リミックス(音楽などで複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す手法の1つ)、といった手法を 用いて盗用することを特徴とする。 シミュレーションアート、アプロプリエーションアートとも呼ばれる。 その背景にはジャンボドリヤールがシミュラークルとシュミュレーションで指摘したように、オリジナル とコピーの区別が消失し、コピーが大量に消費される現代社会の様相がある。 簡単にコピーができる虚しさや寂しさを表現している。 映画の1シーンのような情景を演じたセルフポートレートを撮影したシンディーシャーマン、ウオーカーエバンス の写真を複写して自らの作品としたシェリーレヴィーンなどが代表的な芸術家とされる。 日本においては美術評論家の椹木野衣が1991年に記したシミュレーショニズムハウスミュージックと 盗用芸術における論説が芸術家などに大きな影響を与えた。

2014年7月22日 19-20世紀の美術運動 その5 シミュレーショニズム はコメントを受け付けていません 19-20世紀の美術運動