油絵具が発明される以前は絵画技法と言えば、フレスコ画かテンペラ画でした。 当時の画家たちは競って教会の壁を飾り、人の目を魅了したのはフレスコの力強い表現と 鮮やかな色彩でした。 フレスコ画とは壁に直接絵を描く技法で、生乾きの壁に顔料を水で溶いて絵を描き、壁の 乾燥によって定着させるものでした。 ウレスコ画の描き方は3種類あります。 1)フレスコ(湿式画法 ブオンフレスコ) 通常のフレスコ画と呼ばれているもので、未乾燥の石灰モルタル壁に顔料を水のみで溶いて 描く方法です。 2)フレスコセッコ(乾式画法 アセッコ) 乾燥した石灰モルタル壁を水で濡らしておいて、顔料に石灰やカゼインなどのバインダーと 呼ばれるものを加えて、水で溶き、描く方法です。 石灰などが糊の役割を果たして定着します。 3)メッゾフレスコ 1)のフレスコ画法で描いた後、2)のアセッコ技法で加筆する方法です。 漆喰の乾燥する間に描ききれなかった細部描写や修正の為に行われます。
フレスコの他の絵画技法との違いは画面への絵具の定着を溶液に頼らないことです。 つまり日本画のにかわ、油絵の溶き油、水彩のノリ、といった溶剤はフレスコは一切不要です。 濡れた石灰の上に水溶きの顔料(粉末状の色素)を乗せてやれば石灰水が顔料を覆い、空気中 の二酸化炭素と反応して透明な結晶となります。 顔料はこの結晶に閉じ込められて美しさを保ちます。