14)日本の洋画黎明期の画家たち その49 岡田謙三

その49 岡田謙三

岡田謙三(1902年(明治35年)-1982年(昭和57年))は横浜で生まれた洋画家です。 東京美術学校を中退して1924年に渡仏。4年間過ごす。 帰国後二科展を中心に制作活動を行い、戦後日本の主要画家の1人とされながらも名声と実績の全てを 捨てて1950年に渡米。 ヴェネチアビエンナーレ、ピッツバーグ国際美術展など多くの美術展で受賞を重ね、全米優秀芸術家に 二度選出される。 48歳の時にニューヨークに渡って、いわばアメリカンドリームを遂げた画家である。 渡米前は人気作家の証である、新聞の連載小説の挿絵や雑誌の表紙絵などを多く手がけて、生活も安定 していた。 アメリカでは文字通りゼロからの再出発を図ったのである。 アメリカの新しい絵画の動向をのぞいてみようといった軽い関心ではなく、自分の絵画をさらに進める ためにはゼロから立てなおさなければなたない、という決意であり決断だった。 具象の絵を惰性で描いているようで耐えられなくなった。描くことに食欲がなくなった。パリに行くのも いいが、そこにはいつも背広を着ていなくてはならない、日本に似た堅苦しい伝統がある。 そんな伝統のないアメリカでゼロからやり直したいーー(本人弁) 謙三は渡ったニューヨークで一大転換を成し遂げる。そこで画壇を席捲していた抽象表現主義に触発 されて、新たな表現手法を得て、全米優秀芸術家に1人に挙げられるほどになる。 画家を志した初心を貫き通して獲得した大いなる実りだった。