14)日本の洋画黎明期の画家たち その42 鍋井克之

その42 鍋井克之

鍋井克之(1888年ー1969年)は大阪府出身の洋画家。 東京美術学校卒。1915年「秋の連山」で二科賞。 フランスなどに留学後、1933年に二科会会員。 1924年小出楢重、黒田重太郎らと大阪に信濃洋画研究所を設立。大阪の美術界を盛り上げていこうと思い 結成されたもので、単に実技だけでなく理論も徹底して組み合わせた新しい教育方法で美術界に貢献しました。 1947年二紀会の結成に参加。 1950年芸術院賞受賞。 1964年浪速芸術大学教授に就任。 鍋井の描く作品の多くは風景画です。生涯をかけて風景画の本質を追求し、日本全国を廻って様々な芸術品 を描き続けます。 特に注目したい作品は紀伊半島の風景画です。現役の頃の鍋井は明るく聡明な紀伊半島の風景を非常に 気に入っており、数多くの風景画を制作しています。その中の「海辺の断崖」は、特に雄大で荒々しい岩肌 と穏やかに佇む海面のコントラストが印象に残る作品になっています。 一方、鍋井は挿絵などにも手を広げ、この分野でもその多彩な才能で活躍しています。 自らの生まれた土地である大阪を愛し、さらに大阪から発信すう芸術文化を日本に広めようと高い指導力 と行動力で示した鍋井克之。彼の功績は日本美術界にとって、とても大きなものでした。