風景画の描き方 その16 空気遠近法

空気遠近法とは大気が持つ性質を使用した空間表現法です。
戸外で風景を眺めていると、遠景に向かうほどに対象物は青味がかって見え、又同時に遠景ほど
輪郭線が不明瞭になり、対象物がかすんで見えます。
こうした特質を使用して空気遠近法では遠景にあるものほど形態をぼやかして描いたり、色彩を
より大気の色に近づけるなどして空間の奥行きを表現します。
遠くのものは空気の層の影響を受け、はっきり形が見えないので光やカゲとして色彩で表し、空気に
溶け込むように描く、山の輪郭も遠方の山ほど大気の中に取り込まれるように薄れていくように
表現します。
ルネッサンス期においてレナルド、ダ、ビンチも既にこれを取り入れています。当時遠近技法として
線の消失点への収束や遠くのものほど小さく見せるなど、奥行きを表現する線遠近法がありました。
しかし戸外の情景を描く場合、遠景を平面の画面上で表現する際には線の効果だけでは十分ではなく
色彩の効果が必要であることをレオナルドは認識していました。
ここで初めて空気遠近法という技法が確立されたことになります。
もう1つの遠近法に色彩遠近法があります。
物理的な遠近法と空気遠近法そして色彩遠近法の3つの遠近技法を画家は通常意識しながら作品を
描いていくわけです。
色彩遠近法は要するに、後にあるものは青に、前にあるものは赤か黄にすることで、前にある物体は
自分に近づいてくる。奥ににあるものは遠ざかっていく、という視覚作用を使用した心理的錯覚を
おこさせる現象を使用した画法です。

2014年5月19日 風景画の描き方 その16 空気遠近法 はコメントを受け付けていません 風景画の描き方