色の知識その1 色と名称(透明性、不透明性)

油絵具の性質として、透明性が高い絵具、とか低い絵具とかか、よく言われている。
知識として知っておくと便利である。
油絵具は乾性油が空気中の酸素と結合して固化する。
油絵具の酸化による硬化を一般的に乾燥と呼ぶ。
乾燥時間が水彩絵具より長く、数日間を要する。
透明性とは透明な性質のことであり、不透明性とは不透明な性質のことである。
油絵具は乾性油の屈折率の高さから、大体において透明性が高い。
しかし透明水彩絵具とは透明性の原理が異なるために同一ではない。
透明性の高い絵具の顔料はアリザリンレーキなどのレーキ顔料、アントラキノン、フタロシアニン、
キナクリドン、などの有機顔料がある。
有機顔料は基本的に透明性が高く、オーレオリン、ピリジャン、マンガン青、合成ウルトラマリン
などもある。
又、透明色に不透明の白色を混合すれば不透明色となる。
不透明性の顔料としては、バーミリオン、カドミュームレッド、カドミュームイエロー、
コバルトターコイズ、セルリアンブルー、チタニュームホワイト、などがある。
油絵具の黄変性について
市販のチューブ入り油絵具で、比較的に安価なものは乾燥にしたがって、絵具が黄味、赤味になる
ものがある。
白色などの明るい色は大体は芥子油などを乾性油として作られている。
但し芥子油は黄変性は弱いが乾燥が遅く、塗膜が比較的に弱い、
もう1つ、亜麻仁油を乾性油とする絵具は黄変性が強い。しかし乾燥が速く、堅牢な塗膜をつくる。

色の知識その1 色と名称(油絵具の組成)

油絵具は顔料と乾性油から作られる。
市販されている絵具は顔料と乾性油に乾燥促進剤や樹脂などの溶剤を混ぜて作られる。
油絵具はこの乾性油が酸化して硬化することにより絵具が定着する。
最近では界面活性剤を添加したものが販売されており、水で希釈することができる可水溶性絵具
も販売されている。
顔料は不溶性色素(水や油に溶けない)といって、鉱物、石油、空気などから製造される。
顔料は有機顔料と無機顔料に分類される。
有機顔料は分子構造中に炭素を含む化合物。
無機顔料は分子構造中に炭素を含まない化合物。
である。(一部例外もある)
有機顔料を構成する元素は水素、炭素、窒素、酸素が主である。
この他にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含むものもある。
無機顔料を構成する元素はナトリューム、マグネシューム、アルミニューム、チタニューム、
バナジューム、クロム、マンガン、鉄などの金属元素と、酸素、硫黄、窒素、水素、などの
非金属元素からなる。
油絵具の毒性
市販されている油絵具は通常で使用される場合にはほとんど問題はない。
がしかし知識として知っておくべき事柄である。
鉛、六価クロム、カドミウム、水銀、コバルトなどの重金属を含む有機顔料、有機溶剤は重金属障害
の原因となる。
有機顔料、有機溶剤は発がん性がある。

油絵の画材その10 キャンバス(4)

張りキャンバス
すでに画布が張られた状態の張りキャンバスが多く店頭に並んでいます。
また、カットキャンバスといって、所定の大きさにすでに裁断された状態のものもあります。
これも、後は自分で木枠に張ることになります。
張りキャンバスは手間がかからない分、少し割高となるのは仕方ありません。
100号以上のキャンバスとなると、制作するのに年配者や女性は難しいでしょう。
画布の面が皺しわとなって失敗する例が多いです。
張りキャンバスは使用する画布の材質、木枠の材質、そして手張りか機械張りかによって
価格が異なります。
純麻布+桐木枠とか、化繊+桐木枠とか、麻100%+高級杉木枠とか
亜麻生地+高級米杉木枠とか表示してあります。麻布+桐木枠が普及品でしょう。
折りたたみ式キャンバス
100号のキャンバスはそのままでは運搬が難しいです。100号そのまま車に入る車種
も販売されていますが、乗用車では難しいでしょう。また100号を持ったまま電車に
乗ることは迷惑となるでしょう。
そのために今では、2つに折りたたむことができるキャンバスもあります。
2つ折木枠と専用金具(ホルベイン製)で作ります。
2つ方法がありまして、100号のキャンバスになるよう2つの木枠を金具で止める方法と
100号の木枠を2つに切り離して切断面に金具を付けてから画布を張るものとあります。
前者は真ん中に結合線が出ますので絵画の雰囲気を壊す場合があります。
後者は画布は100号のままで木枠だけが2つに分離してますので、切断線は現れませんが
画布を丸く折りたたみますので厚塗りの場合は亀裂が出る場合があります。

油絵の画材その10 キャンバス(3)

ロールキャンバス
一般的にキャンバスは画布がロール状に巻いて売っているものと、張りキャンバス、といって
すでに木枠に画布が張ってあるものとあります。
ロールキャンバスは自分でキャンバスを作る場合のものです。
最近は張りキャンバスの種類も豊富に出回っていますので、自分の手間を省いて張りキャンバス
を使う人が多くなっています。
もちろんロールキャンバスを買って自分で作る方が、絵描きにとっては安くなります。
ロールキャンバスの大きさは幅が140センチ、170センチ、200センチとあります。
長さは大体が5m、10mのものがあり、これが巻いてあるわけです。
これを必要とする大きさに裁断して使います。
裁断には歩戸止まりを考えながら行わなくてはなりません。切れ端をなるべく少なくすることです。
ネットでキャンバス裁断参考表のような資料がありますのでこれを見ながら裁断するといいでしょう。
ロールキャンバスには荒目、中荒目、中目、中細目、細目などがあり、厚みも色々あります。
大作用(50,80,100,150号)にはなるべく厚めで荒目のものが必要です。
キャンバスを作るためには木枠も準備します。木枠は米杉材がよく使われます。
杉の集成材や南洋桐と言われているファルカタ材などもあります。
又キャンバスを張るための道具として専用プライヤーとハンマーが要ります。
キャンバスを止めるものとしてキャンバスタックス(鋲)があります。
張り方はネットなどで多くのマニュアルがでていますので写真を見ながらやってみてください。

油絵の画材その10 キャンバス(2)

画布
油絵のような支持体として使われる、木枠に張った画布(キャンバス)は主に麻布が
よく使われます。綿布や合成繊維又はこれらの混成したものもあります。
麻布はかなりの強度を持ち、耐酸性にも優れていますので油絵用として適しています。
麻布には様々な種類がありますが、普通は亜麻が使われます。
亜麻という1年草の茎から得られる繊維です。
参考までに、絵具に良く使われるリンシードオイルも亜麻の種から作られます。
亜麻は油絵にとって非常に重要な植物というわけです。
画布は糸の密度により、荒目、中目、細目と分かれます。
1インチ又は1センチなどにおいて何本の糸が通っているか、という打ち込み本数で
決まります。
荒目は表面の凸凹が大きいので、細密描写には向きません。細目は微細な描写向きです。
一般的に荒目の方が糸が太く、強度もあります。従って大作用となります。
布は湿度により伸縮します。
生地はかなり極端に伸縮しますが、膠引きや地塗りがしてあれば、麻布はわずかしか
伸縮しません。膠や地塗りで糸が固定されるからです。
地塗り済みのキャンバスは雨天時に張れば、晴れた乾燥した日にはピンと張った状態に
なります。
従ってできるだけ雨天時にキャンバスを張ることを薦めます。

油絵の画材その10 キャンバス(1)

支持体
キャンバスや板、画用紙、など絵画を支える材料を支持体又は基底材と呼びます。
油絵の場合は木枠に張った画布(キャンバス)。テンペラ画は板。水彩画には画用紙
などが支持体です。
他にも、建物の壁面、銅板、などの金属、石やガラスなども支持体になります。
キャンバスの構成
油絵用のキャンバスは支持体である画布と木枠で構成されています。
キャンバスとなる支持体をもう少し詳しく述べます。
画布の上に前膠(にかわ size)を塗る。これは絵具を直接画布の上に載せると、絵具の
油が布に吸い込まれ、染みとなったり、油絵の特徴であるつやや耐久性が減少して、
さらに油の酸化により画布の繊維を傷めてしまうことになります。
それらを避けるため、膠液を塗って、支持体表面の目止めを行うのです。
この膠層のことを前膠と呼びます。
この膠は昔は獣皮の膠が使われていたが、近年ではPVA(ポリビニールアルコールポパール)
という液が使われています。
そしてその上に
地塗りがされています。
獣皮やPVAの膠の塗布だけでは表面が円滑になりません。また膠の独特な色があるので、
これを覆うことを目的に石膏やチョークを膠液で溶いたものを塗布します。
油絵具の白を塗布する場合もあります。
市販されているキャンバスはこのような絶縁層や地塗りの処理が終わったものが販売されています。

油絵の画材その9 油絵用のイーゼル

イーゼルは野外用と室内用とあります。 野外用にはスケッチ箱に脚がついたもの、材質もアルミが主流ですが、木製もあります。 室内用はアトリエ据え置き型が基本です。 キャンバスの大きさにより上下に伸び縮みできるものや水平になりものまであります。

野外用イーゼル ほとんどがアルミ製です。2-3段式の木製のもの(ベーシックな感じ)も市販されています。 基本的に立って描いても座って描いても対応できる大きさのものでなければなりません。 このアルミイーゼルは別に油絵用というわけでなく、スケッチ用、水彩画用など多目的に 使用されます。 当然携帯用ですが、50F対応のものまで大きさも色々です。

卓上イーゼル 小品制作用のイーゼルで机の上に置いて使います。絵画教室などでよく使われています。 適度な重量があります。

室内用アトリエイーゼル 木製のものがほとんどで、ポプラ材、タモ材、オーク材などが使われています。 キャンバスの大きさにより、高さ調整を調整穴(トリガー式)で行うもの、巻き上げハンドル でおこなうもの、電動モーターで行うものなどがあります。 大きさもほとんどが100F対応可能となっています。 重量は10kgくらいから30kgくらいのものまであります。 価格は2-3万円から30万円くらいまであります。 100号以上の大作用には特注で作ってもらわなくてはなりません。 150号くらいのものでしたら、大きな画材屋さんで売っているかもしれません。 アトリエイーゼルは比較的に高価なため、安いデッサンイーゼルでも対応可能です。 これで代用している人もたくさん居られます。

油絵の画材その8 油絵用パレット

油絵用のパレットには3種類の形があります。 オーバル型(丸型) 楕円形の形をしており、扇状に絵具が並べられる。 フランゼン型(丸型)雲形をしており、左腕の邪魔にならないように手前が大きくえぐられている。 オブロング型(角型)2つ折になったものもある(スケッチ用)  これらのパレットの材質は、よく使われているのが朱利桜材である。 きめが細かく、変形が少なく、適度な硬さと弾力を持っています。  他にも 紙パレット  使い捨てが可能で、1回ごとに1枚めくって捨てます。結構重宝します。 大理石パレット  アトリエの据え置き型、重量があるので調色しやすい。但し高価です。 タイルパレット  セラミック製 ほどほどに重量感がある。ネットで探せばある。 ホワイトパレット シナベニア デコラ張り(丸型、角型) アルミパレット  あまり市販されていない

専門家用パレット(丸型)の特徴 体のもっとも近い方が厚くなっており、遠くになるにしたがい薄くなっています。勾配がつけてある のです。丸パレットの右手前にはバランス用の重りが仕込んであり、全体の重量バランスが指穴に くるようになっています。 長時間制作していても疲れにくくなっているわけです。

左利き用パレット 右利き用ほど種類が豊富ではありませんが、もちろん市販されています。 昔は右利き用のパレットを裏返して使っていたようです。但しこれだと、指を入れる穴のカットの R(丸く削ってあるところ)が逆になることから、エッジに指が当たって痛いという欠点があります。 これも1枚パレットの話で、2つ折の場合は無理です。

油絵の画材その7 ペンティングナイフ

油絵を描く画材は筆だけではありません。木製の彫刻刀や布、そして手も道具の1つです。
ペンティングナイフも古くから広く一般的に使われている道具です。
このナイフの使い方も覚えておきましょう。
ペンティングナイフの種類
菱形、涙型、角ばったものなど形や種類が色々あります。
刃の長さは小さいもので2.5cmくらい。長いもので10cm程度です。
普及型は細長い菱型で刃先が5-8cmくらいのものがいいでしょう。
材質的にはほとんどステンレス製ですが、プラスティックや木製のものもあります。
パレットナイフも1本準備しておきましょう。
バターナイフのような形状でパレット上での混色、固まった絵具のそぎ落としに使います。
ペンティングナイフの使い方
ナイフといっても筆と同じように使えばよいです。絵具を盛り上げたいときは油を少し、
エッジを利かせて、直線を鋭く入れるときは油は多めです。
タッチとかエッジを利かせる方法は我流でいいですから色々やってみてください。
ナイフを使った描き方はどうしても絵具が厚塗りとなります。
盛り上げや平らな塗りこみ、絵具をならしり、引っかいたり、筆とは違って、力強い表現が
可能です。
ただナイフを使って描くと厚塗りとなって乾燥がかなり遅くなります。

油絵の画材その6 油絵用の筆(形状別の種類)

1、フラット   平筆の基本型 面塗りや線描き。  2、フィルバート 平筆 面塗りや描き込みに使用する。線は柔らかくなる。   3、スラント   平筆 アングルともいい、斜めにカットされた筆 ,直線描きやエッジを使った線描きに使用される。  4、ブライト   平筆 毛先が短い、力強い直線に使用する。 5、ラウンド   丸筆の基本形 線描きや細部を描く時に使用する。  6、ファン    扇形 毛先が扇形で草や動物の毛並みを描く時に使用する。           又、ぼかしやグラッシ画法に使う。  7、スプリクト  穂先が長く細密画やサインする時に使用する。         画材屋さんには非常に多くの筆が並んでいます。選択するときに迷いますが、 とりあえず選ぶとすれば  豚毛の平筆(フラットとフィルバートを混ぜる)4,6,8,10,12号くらい  軟毛(馬、狸、コリンスキーなど)の平筆4,6号あたり。 あるいはセットで10本セットのように売っているものもありますので、 それでもいいでしょう。 描いている内に色々欲しくなってきますので、その都度付け加えていくといいでしょう。

ここで筆の手入れの方法を述べておきます。 描き終った後の筆の手入れは大変重要です。手入れを怠りますと、すぐに穂先がカチカチになって、 使えなくなります。最初に失敗する人が多いです。 まずは、筆の穂先についている絵具を紙(新聞紙やちり紙)やボロ布でよく拭き取る。 次に油絵用のクリーナー(画材屋に売っている、原液のまま使用)で押し洗いする(何度も)。 まだこの段階でも乾性油が筆についています。 乾性油をボロ布でよく拭き取る。 そして石鹸(筆洗液アプトでもよい)を付けて水またはぬるま湯で洗い流す。 最後に布で水分を拭き取り、形を整える。

油絵の画材その6 油絵用の筆(原毛別の種類)

筆の原毛別の種類
1、豚毛     もっとも多く使われている普及品、高いものから安いものまで各種あり。
油絵具独特のねばりに負けない弾力と耐久性がある。
2、コリンスキー シベリア北東部に生息するイタチの一種(テンも含まれる)。
イタチの尾毛を使用する。筆の中では最高級のもの。
弾力がありしなやかで揃いがよい。軟調毛。
コリンスキーレッドセーブル、コリンスキーセーブル、レッドセーブル。
などがある。
3、セーブル   これもイタチですが、シベリア産のコリンスキーを含めて総称して呼ぶ。
(日本画、水彩画用として多く使われる)
4、狸      日本産や中国産の狸の背中の毛を使う。
絵具の含みが良く、軟調。
5、オックス   ヨーロッパ、中国、南米産の雄牛の耳の毛を使う。やや軟調。
6、馬      よく使われる一般的な普及品。ほぼ全身の毛を使用する。軟調。
7、リス     ロシア、中国産の原毛が良質。絵具の含みや穂先のまとまりが良い。
弾力はない。
8、リセーブル  特殊加工した画筆用合成繊維。複数の原毛を混ぜて筆にしている。
腰が強く、豚に似たものからセーブルのような軟調筆まである。普及品。
9、ナイロン   安価、絵具の含みや腰の粘りが弱い。

筆は硬毛と軟毛があります。

硬毛は豚毛が一般的です、独特の腰にねばりがあり、耐久性もあります。

下塗りから仕上げまで使用が可能です。

軟毛は溶き油で、やわらかく絵具を塗るのに適した筆です。

代表的な筆はコリンスキーですが、かなり高価です。馬や狸でもいいでしょう。

油絵の画材その5 ちょっとわき道 有名な油絵画家

日本人は西洋絵画の中では19世紀から20世紀にかけての印象派の絵画を好む
傾向にあります。
ミレー、マネ、モネ、ルノアール、シスレー、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ
ブラックなどが代表格でしょう。
印象派の特徴は光の変化や空気感、などを絵画で表現しようとしていることです。
明るく、鮮やかな色使いで、絵が描かれた場所の雰囲気が伝わってくるようなところ
が日本人に好かれるのでしょう。
日本での油絵は洋画と言われるようにヨーロッパから伝わってきました。
しかしあのゴッホは日本の古典絵画と言われる浮世絵を油絵で模写し、浮世絵の構図、
色彩、技法を勉強しました。
西洋の印象派には、日本の浮世絵の影響が及んでいたわけです。
日本にも有名画家はたくさんいます。
洋画家第1号と言われた、高橋由一、そして日本の画壇の基礎を築いた黒田清輝、藤田嗣治、
現代においては青木繁、東郷青児、岡本太郎、中川一政、小磯良平、といった現在の繁栄
に大きく貢献した人達。
因みに有名といえば芸能人にも画家として活躍している人がいます。
工藤静香、八代亜紀、石坂浩二といったみなさんです。
油絵画家ではないですが版画家のジュディーオング倩玉さんも有名です。

油絵の画材その4 画用液について

油絵用の画溶液は実に多くの種類があります。
それらから抜粋して、通常よく使われているもの、この程度は知っておいたほうがいいと思われる
画溶液を紹介します。
ペトロール(溶き油 揮発性油)
石油を精製して作る、性能はテレピン油と同じ。
植物性の溶き油やワニスを薄めるときに使う。
テレビン油(溶き油 揮発性油 ターペンタインとも言う)
松の樹脂を蒸留、精製してつくる。油の粘りを調整するときに使う。
まだ乾燥してない絵具を除去するときにも使う。
リンシードオイル(溶き油 乾性油)
亜麻の種子より採取した植物性の乾性油。
乾燥が速く、皮膜も丈夫、乾燥すると少し黄変する。
ポピーオイル(溶き油 乾性油)
ケシの種子から採取した植物性乾性油、
リンシードより乾きが遅い、乾燥後の黄変はない。
揮発性油やワニスとシッカチーフを加えて調合した溶き油。
ルソンパン(溶き油 調合油 )
ポピーオイルにペトロール、ワニスとシッカチーフを加えて調合した溶き油。
油絵を描くときの基本油、薄めるときは揮発性油を加える。
ペンチングオイル(溶き油 調合油)
リンシードにペトロールとワニスとシッカチーフを加えて調合した溶き油
光沢があり、がっちりした乾きが特徴。初心者向き。
ルツーセ(画面修正用 仮引用ワニス)
ダンマル樹脂をペトロールで溶解した画面修正用ワニス。
制作途中のツヤやばらつきを直すために塗る。
タブロー(保護ワニス)
特殊合成樹脂をペトロールで溶解した画面保護用ワニス。
作品の絵具を有害ガスや大気中のゴミ、汚れなどから守る。
塗布は制作後半年から1年くらいしてから塗布。
他に剥離財、定着剤、ブラシクリーナー、乾燥促進剤などがある。

油絵の画材その3 油絵具の豆知識

油絵具のメーカーは世界中にたくさんあります。日本国内にも世界中から輸入された外国産のもの。
そして国産のもの。合わせて10社以上はあります。
価格もまちまちでメーカーによって異なりますし、色によっても異なります。
同じメーカーでも普及品から専門家用、さらに高級品など何種類も販売されています。
描きながら色々使って見て、その違いを実感して、自分の合った種類のものを使うといいです。
メーカーが違う色を混ぜても別に問題はありません。
豆知識として覚えておくと便利な「ヒュー」という名のついた油絵具を紹介します。
原料が非常に高価なため、絵具の販売価格が高いため、それに替わる安い代替品として作られた
絵具です。という意味の言葉です。
赤色のバーミリオンという絵具は硫化水銀という原料が使われています。水銀という貴金属が含まれて
いるため、大変高価です。そのため、その代用品として他の安い顔料を使って安く販売されている
絵具がバーミリオンヒューです。
代表的なヒューをあげておきます。
コバルトバイオレット     コバルトバイオレットヒュー
セルリアンブルー       セルリアンブルーヒュー
ピリジャン          ピリジャンヒュー
エメラルドグリーン      エネラルドグリーンヒュー
クロムグリーン        クロムグリーンヒュー
クロムイエローライト     クロムイエローライトヒュー

ヒューは代用品として当初は作られていましたが、現在では独自の色として位置づけられています。
代用品のイメージはありません。
ヒュー以外にも代用品の意味でつけられた絵具があります。
チントとかネオという添え字のついたものです。
モノクロームチントクール
コバルトブルーチント
ネオジントホワイト
エメラルドグリーンネオ
など

油絵の画材その2 油絵具の毒性について

油絵具には人体に有害な物質が含まれていることがあります。
油絵具ではカドミユームイエロー、カドミュームレッド、バーミリオン、シルバーホワイトなどが
毒性のある代表格です。
毒性のある絵具は絵具のチューブに有毒性マーク又はドクロマークのラベルが貼ってあります。
警告文が貼ってあるものもあります。
しかしやたらに恐れるほどのものではありません。
通常は作業後に手を洗う、道具類も清潔にしておけば人体に影響を与えるほどの毒性はありません。
過去には毒性の強い材料もありましたが、現代では使われていません。
市販の絵具では普通に使用しておれば別に問題ありません。
但し小さい子供さんが誤って飲み込まないように厳重に管理しなくてはなりません。
妊婦のいる家庭でも要注意です。これは絵具が発生する微量のガスの影響です。
油絵具は乾く過程で微量のガス、揮発性物質のガスが発生します。
これが問題となるケースがあります。
シックハウスの対象物質であるホルムアルデヒドがごく微量ですが発生します。
いったんシックハウス症候群となってしまった人には微量でもつらい症状を引き起こすことになります。
一方、絵具を捨てるときにも配慮が必要です。
残った絵具を水に流すことは厳禁です。環境を汚すことになります。
使い終わった絵具のチューブや絵具のカスは燃えないゴミとして分別して出しましょう。

油絵の画材その1 油絵具

日本で売られている主な絵具のメーカー

  • クサカベ
  • ホルベイン
  • ウインザー&ニュートン
  • レンブラント
  • マツダ
  • ギルド
  • ルネッサンス
  • バンゴッホ
  • ターレンス  他

画材店に行きますと、クサカベ、ホルベイン、ウインザー&ニュートンなどはまず店頭に並んでいます。
大きな画材店にはさらに多くのメーカーの絵具が並んでいます。
油絵具とはポピーオイルやリンシードオイルなどの植物性油で練ったものです。
この油が空気に触れて酸化することにより絵具が固まります。
油絵が乾きにくいのは、この化学変化がゆっくり進むためです。
油絵具には全て固有の名称がついています。
各メーカーに共通する名前ですが、異なっている場合もあります。
この固有の名前ですが、各メーカーによって色が違います。従って絵描き同士で色の話をする場合は
クサカベのグレーオブグレーというようにメーカー名も一緒に添えて言わないといけません。
極端に違う場合もあります。
油絵具は現在200色くらいはあると思います。
この名前を全て覚えるには大変です。徐々に使いながら覚えていくしかありません。
ホルベインの赤系統だけでも25色あります。
透明色のもの、不透明色のもの、半透明色のもの。
あるいは乾きの早いもの、遅いもの。大体乾燥所要時間は3日ー5日です。
又、油絵具は色によって価格が大きく異なります。
クサカベ、ホルベイン、マツダなどはローマ字記号でAからHまで表記してあります。
Aが最も安く、HはAの3倍くらいの価格です。
油絵具を買うときはこの記号を見て承知して買わないと、精算時にビックリします。
コバルトバイオレットローズはGです、コバルトバイオレットはHです。

デッサンと形(造形)その12 男性ヌードデッサンについて

裸体デッサンと言えばすぐに裸婦デッサンということになります。
あまり聞かないかもしれませんし、裸婦デッサンより、機会はかなり少ないです。
モデルになる男性の数が非常に少ないのです。
しかし美大や美大予備校ではよく行なわれていますし、最近では大きな絵画教室で
男性ヌードデッサン会が頻繁に行われています。
男性ヌードは女性ヌードにない造形美があります。
女性の場合、その華奢な骨格ときめ細かい肌が美しい曲線美を作っています。
これに対して、男性は太い骨と力強い筋肉が現れています。
皮膚まで筋肉の筋や血管が浮き出ています。
女性とは対照的な肉体美となっています。
彫刻家も人体の構造を理解する上において、人体デッサンは欠かせない科目です。
一部のデッサン会ではムービングというクロッキーの仕方で行っているところもあります。
ムービングはモデル(主に男性ヌード)がゆっくり動いてクロッキーする方法です。
筋肉や骨格の動きをパーツで描写したり、一瞬を捉えて全体のフォルムを描写します。
気に入ったポーズで止めてもらって描くこともできます。
あせらないで、しっかり観察するだけでもリアリティーのあるポーズの研究になります。
人体の構造をより正確に把握するために、機会があれば挑戦したいモチーフです。

デッサンと形(造形)その11 ヌードデッサンの描き方と注意点

ヌードデッサンは人体を観察して、人の体の美しさ、骨格や筋肉、身体のバランスなど 人体の造形や機能美を発見し、それを描き写す作業です。 人体構造を理解していると、服を着ている姿を描いてもプロポーションの狂いが少なくなります。                        女性ヌードデッサンの描き方と注意点                                  1、55センチ*70センチくらいの画用紙と鉛筆数種類又は木炭を準備する。            2、基本的には見たように、感じたまま自由に描けばよい。固定概念はなるべく排除しましょう。                                                        3、モデルから3m以上離れて描く位置を確保。                            4、身体の部分を描きたい場合は近寄って見る。                                          5、全体の身体のバランスを正確に把握すること。   手足や太ももの長さや身体の部分の幅を捉まえること。細部には囚われないこと。                               6、人体はいかに正確に描くか、の練習です。                              7、デッサンであれば背景は不要です。   クロッキーであれば細かな細部の描きこみは不要です。   実際、通常クロッキーの場合は1ポーズ10分から20分くらいです。いかに早く正確に描くか   の練習を重ねることになります。   ポーズの種類はたくさんありますので、自分の好みのポーズを希望する場合は、予めポーズ集   などで勉強しておきましょう。(ポーズ集はネットでも購入できます)                                       8、線にも強弱を付けて、強く感じるところの線は太く、弱く感じる線は細くです。 9、マッスを意識しながら描く。   マッスとは対象の中の相当量の色や光、影などの一つのかたまりのことです。   全体の中の一つのかたまりとして把握することです。   ヌードデッサンの場合は対象をこの形のないかたまりとしてつかまえ、量感を表現することになります。

 

デッサンと形(造形)その10 人物デッサン(ヌード)

これまで人物デッサンのための解剖学や人物画デッサンについて述べてきましたが、次のステップ
はヌードデッサンです。
少し敷居が高いと思われるかもしれませんが、これも重要なデッサン力向上のための課程です。
思い切って挑戦してみてください。
今までと全く違う点はモチーフが人間の裸体です。静止状態はなかなか難しく、長時間同じポーズで
居ることはできません。従って短い時間に描き込むことになります。
こうした描き方はクロッキーといいます。10分とか20分とかの短い時間の中で、対象を正確に
描き移す練習をします。
長時間でのデッサンも可能です。こうしたデッサン会もあります。
歴史上の巨匠と呼ばれている画家や彫刻家も多くの人体デッサンを残しています。
繰り返し繰り返し人物デッサンを行って、絵画力を身に付け、後世に残るような絵画作品を完成させて
いるわけです。
現代においても人物デッサンの必要性を疑う人は居ないわけで、全国各地の美大や絵画教室、デッサン会
などで活発に行われています。臆する必要はありませんので気楽に参加しましょう。
ヌードデッサンは女性ヌードが一般的ですが、男性ヌードデッサンも行われています。
裸婦デッサンは裸婦の体の美しさ、神秘的な曲線美を描きとる、表現することが目的です。
描きかたの多くはこれまでのデッサンについての項目で述べたことと違いはありません。
しかし女性特有の体の各部位、美しさをしっかり感じとって、絵として完成させていかねばなりません。

デッサンと形(造形)その9 人物画デッサン

石膏デッサンより、さらに難しくなります。
解剖学を習得していても、なかなか手ごたえがあります。
いかにモチーフとしっかり対峙して、立ち向かっていく姿勢が大事です。
正確に緻密に写し取っていく作業となります。
人間の体は全体像の場合は、その大きさ、長さは一定の比率があります。例えば日本人は7頭身、
欧州人は8等身というように。特に顔のパーツ、頭髪、ひたい、眉毛、目、鼻、頬、耳、口、首などは
人種によって、人によって違いはありますが、大体の位置関係の比率は決まっています。
また男女によっても異なります。男女の違いもしっかり勉強しておかねばなりません。
女性は顔が丸い、男性は平たい。女性は顔が小さく、男性は角張っている。女性は鼻が反り返っている、
男性は鼻筋が通っている。女性は首が細く、男性は太い、など。
解剖学の知識はこうしたところで生きてきます。
人間の眼は極めて正確であることを念頭においておいてください。
デッサンは着彩しません、明暗のみで人体を表現します。パース(遠近法、透視法)も駆逐しながら、
人体をよく観察して描きこみ、練習していきましょう。
モデルが着衣の場合はその衣装もモチーフとなります。衣装の質感、ボリューム感も描きこみますが
人体の顔や手足が脇役にならないよう、全体の調子を抑え気味にします。
衣装のデザインや模様は描きすぎないようにすることも必要です。

デッサンと形(造形)その8 人物デッサンのための解剖学

必ずしも、どうしても必要という勉強ではありません。
人物画を基礎から勉強する早道として、人体解剖学の習得があります。
大学の美術を専攻すると、教養課程で必ず履修しなくてはならない科目です。
もちろん医学における解剖学ではありません。美術を志す人のための美術解剖学です。
この美術解剖学は人体の骨格、筋肉の名前を知り、腕を上げたり、下げたり、首を傾けたり、うつむいたり、
した時の骨の位置、働き、運動した時の骨、筋肉の動きなどを勉強します。
医学書ではありませんから、内蔵の動きや脳の働きなどを学ぶわけではありません。
特に裸婦を描くときは、この素養があるかどうかがまともにデッサンに現れます。
少々学問的で難しい面もありますが、人物デッサンにおいての、1つの基礎だと思って我慢して取り組んで
欲しいジャンルです。
ご存知のように解剖学の人体デッサンは西暦1400年から1500年頃のレオナルド、ダビンチやアルブレヒト
デゥーラーの時代にすでに確立した美術論となっています。
500年以上前から人体デッサンの勉強には解剖学がつきものだったわけです。
美術解剖学は日本では明治24年から東京美術学校(東京芸大)で森鴎外や久米桂一郎らによって取り上げられて
います。現在もなを美術の基礎学問として、営々と継承されているわけです。
ここに参考図書をあげておきます。他にもたくさんありますが、美術解剖学としてはボリュームはありますが
1冊手元に置いて、少しずつ勉強して欲しいと思います。
参考図書
アーティストのための美術解剖学(¥3150) ヴァレリーレ、ウインスロウ著

デッサンと形(造形)その7 石膏デッサン

中学、高校の美術の時間にみんなで教室でやりました、あれです。
石膏デッサンは美大受験の必須科目です(全部ではない)、美大受験予備校でも行っています。
入学してからも行いますし、絵を志す人はいくつになっても行います。
デッサンは絵にとって、それほど重要な行為です。
基本的には石膏デッサンに限らず、風景も静物も人物もそうですが、対象をどれだけ注意深く見る、
観察するか、にかかっています。この工程は大変重要です。
デッサンは三次元の立体の世界を二次元の平面の世界に写し取る作業です。
そこで遠近とか陰影とか、濃い薄いとかの技法を使って立体を平面画として作っていくわけです。
形を描く上において、大事なコツは影です。石膏デッサンはいわば影を描くことです。光の当たる部分によって
影の濃さが微妙に異なります。それを描き分けていかねばなりません。
石膏像はそうした明暗がはっきり出るように作られています。形も特徴があり、しっかり線も出ています。
この石膏デッサンは最初は柔らかい鉛筆で終わりの頃は少し硬い鉛筆で描くと質感が出しやすいです。
明るいところは練りゴムなどで消しこみましょう。
石膏像は色々あります。しかし安いものではありませんので絵画教室などに置いてあるものを使うのが
いいのですが、入会しなくてはなりません。
よく使われるブルータス胸像(83cmくらい)で2万円から4万円、首像でも1万5千円くらいします。
石膏デッサンはデッサンの基礎を勉強するのによい教材です。根気よく枚数を重ねれば確実に描写力が
上がります。
石膏デッサンは初歩の勉強として、だけでなく、ベテランになっても形に悩んだときにはデッサンを行います。

デッサンと形(造形)その6 静物デッサン

静物デッサンは一般的に室内で行うことが多いです。
イーゼルを立てて、そこに画用紙を置いて描きます。
その時、対象のモチーフと位置関係を一定に保ちましょう。
画用紙の中心が、視線に対して直角となる(基本は)ようにイーゼルの高さや角度を調節します。
画用紙の位置は自分の手をいっぱい伸ばしたところに置きましょう。
モチーフは最初はいくつも置かないで、1つの単体のもの、例えばコップ、花瓶、茶碗、コーヒー缶など
身近にあるもの何でもいいです。
描く順序ですが、まづは構図を決めましょう。コップの場合、真横から見るのか、斜め上から見るか、
あるいは見上げて見るか。色々な角度で見て見ましょう。そして自分の好きな角度を見つけます。
そして大体の輪郭を柔らかい鉛筆で薄くあたりをつけましょう。描いていったらモチーフの1部が画用紙から
はみ出さないようにしましょう。オサマリを念頭において大雑把に描きます。
次に明暗を入れながらボリューム感を出していきます。影をしっかり描きます。細部にもこだわりましょう。
そして少し硬い鉛筆(2Hくらい)で筆圧をあげて、強く明暗を入れながら形を整えていきます。
さらに明暗やボリューム感だけでなく質感の違いも描き分けることが大事です。
例えば陶器のコップとガラスのコップ、ミカンとリンゴ、のように質感の違いがあります。
明暗だけですと同じようになってしまいますので、鉛筆のタッチで描き分ける練習もしておきましょう。

デッサンと形(造形)その5 風景デッサン

デッサンは前にも述べましたが、対象をいかに正確に描写する、写し取ることです。
何度も描いているとコツがつかめます。急にうまくなる王道はありませんから、地道に努力するしかありません。
風景画デッサンは初歩のデッサンのところでも述べましたように、まずは対象をしっかり見ることから
始まります。いい風景だ、おもしろい構図だ、と思ってもすぐに描き出さなくて、5分ー10分くらいは
よく見ましょう、観察しましょう。
そこで、自分が感動した正体は何か、何が描きたいか、何が主役か、不要なものは何か、何か気が付いた点は
ないか。そして近くのもの、遠くのものの距離感はどうか、明暗は、どんな形か、などを自分の目でひたすら
観察します。
そういった大体のポイントを頭の中にインプットします。
それからスケッチブックや画用紙に描き始めます。
このデッサンの後に着彩(水彩画、油彩画)をする場合はラフなスケッチでかまいません。
デッサンは黒と白の明暗によって、対象を描くアートです。
技量の程度が非常によく表れます。自分がおかしいな、不自然だな、と思うところは必ず人が見ても不自然です。
風景デッサンはこの観察眼を磨く重要なステップです。
全体的にぼんやりしていた対象をボリューム感と明暗で表現する。そして質感を鉛筆のタッチで描き分ける
などの意識が必要です。

デッサンと形(造形)その4 デッサン力をつけるコツ

絵をうまく描くためにはデッサンの力を身につけなければなりません。
しかし、練習方法が分からない、人のマネではおもしろくない、絵がうまくならない。
そういう場面が出てきます。
初心者を対象にした、デッサンスクールや絵画教室、参考書、ネットの情報など多くの学びの手段があります。
そしてその指導法もまちまちです。
自分に適した教室や教本を探し出すことは至難の業です。
そうした教室や教本はほとんど基本や基礎を教えることが主体で本当のコツやポイントはなかなか教えてくれません。
場合によっては教師の描きかたをそのまま教えている場合もあります。
学びたい人の個性や感性はほとんど無視されます。
自分なりの描きかたを勉強したいのであれば、そうしたところでは徹底的に基本のみを習得ことに心がける必要
があります。これも習得のコツです。やがて自分なりの練習方法が見えてきます。そこにいつでも眼中において独自の練習方法を作って
いきましょう。
デッサンも個性がよく出る芸術です。個性を大事にしましょう。
デッサンのコツはこの後に述べる静物デッサン、石膏デッサン、人物デッサンなどの基本的なことを体得することが
デッサン力をつける大事なコツとなります。

デッサンと形(造形)その3 デッサンのための画材

鉛筆デッサンの場合
画用紙
普通の大きめのものでなるべく厚いスケッチブックでもよい。種類もたくさんあります。
一般的にはサンフロワー紙(157g)中性紙で中目のものがよく使われています。
少し高いですがケント紙があります。
鉛筆
硬さが10Bから10Hまであります。色々使って、好きな硬さを選んでください。
B系統の柔らかいものが描きやすいです。
三菱鉛筆ハイユニがいいでしょう。セットもあります。
消しゴム
プラスティックのゴム消し
練りゴム
頻繁に使います。光の当たっている部分や白い部分を作るとき、又は不要な線を消すときに使用します。
柔らかいですから練りながら使います。
カルトン
スケッチブックではなく画用紙の場合の画用紙の下に敷く板のことです。画用紙を画鋲やクリップで留めて
使います。
フィキサチーフ
定着液のことです。スプレータイプのものがあります。
描き終わったら、これで絵を定着させます。
イーゼル
大きさはいろいろありますが、なるべく頑丈なものがいいです。

木炭デッサンの場合
木炭紙
木炭でデッサンするための専用の画用紙です。
MBM木炭紙厚口(105g)がよく使われています。
木炭
色々あります。
ヤナギNo660、ヤナギ炭細軸など
その他の画材は上記鉛筆デッサンの場合と同じです。

デッサンと形(造形)その2 デッサンの種類

デッサンの定義は、主に鉛筆、コンテ、木炭、などの黒い材質のものを使って、濃淡のみで対象物(モチーフ)
を描く、又は描いたものです。
デッサンは和製英語です。外国ではドローイング又はクロッキーと呼びます。
デッサンは日本語では素描といいます。
よく絵を見て、デッサンが狂っているという言い方をします。それは人間の目はすごく正確ですから、少しの
狂いでも見抜く力があります。要するに本来のあるべき姿、形となっていない状態のことです。
美術展でデッサンが粗雑な絵はすぐに分かります。特に人物画は顔や手足にその必然性がよく出ます。
デッサンの練習は長くて遠く終わりのない勉強です。いかに功名な画家であっても、常にデッサンは日常の中で
勉強の手法として、取り入れています。
デッサンは一般的に木炭デッサンと鉛筆デッサンがあります。画材はこの次のテーマで述べます。
そして描く対象により区別されます。
静物デッサン
静止しているもの、風景、果物、花、陶器、骨董品、グラス、台所用品など。自分の手もあります。
身近にいっぱいあります。
石膏デッサン
石膏像は等身大のものから胸像まで各種あります。ミロのビーナス像、ブルータス胸像、カバービーナス像
他色々。アグリッパ(面取り)という特殊なものもあります。面だけで構成され、光の向きの変化や明度差、
陰影をデッサンするもので立体感の観察力を養うためのものです。
人物デッサン
着衣の人物デッサンとヌードデッサンがあります。
石膏デッサンより、より高度なデッサンとなります。

デッサンと形(造形) その1 デッサンは絵画の言語です

これまでの初歩のスケッチでは、スケッチは楽しいことです、そしてその楽しさを味わい、より絵に
関心を持ってもらうために、基本的なテーマで述べてきました。
ここからは、ある程度、さらに深く絵を勉強したい、絵の表現手法をさらに追求したい、又基礎から勉強したい、
という人達のためのガイダンスです。
少々専門的になってきます。
その最初のパートがデッサンです。
デッサンは絵画の言語と言われています。音楽家が譜面を読めなければ演奏できないと同じように、絵画も
その言語といわれる表現手法が体得されていなければ絵が描けません。
絵は基本的には自由ですから、どんな方法で描いても別に問題ありません。
が、デッサンはそうした意味では少々堅苦しいかもしれません。個性を一旦抑えて勉強しなくてはなりません。
そして、ある程度身についてくると、自由に表現する表現エリア、世界がさらに広がっているのに気がつくでしょう。
デッサンは基本的に対象物(モチーフ)をありのままの姿、形を写し取ることです。
抽象画であれば別にありのままでなくても自分の感性によって自由に形や姿を描くことは可能です。
ここでいうデッサンは写実的な画法です。
まずはデッサン力を養いましょう。

初歩のスケッチその12 水彩で花を描く

絵を描き始めますと誰でも花の絵が描きたくなります。
花と水彩は相性がいいため、多くの人が楽しんでいます。描き方もたくさんあります。
描いていますと、やがて自分なりの個性的な絵になってきます。
水彩で花を描く技法としてポタニカルアート(細密植物画)があります。これはこれで1つの絵画部門を
形成していますので、今回は除外します。
季節の花、自分の庭に咲く花、又は花屋さんで好きな花を買ってきてもいいでしょう。
できれば花弁の大きいものが描きやすいかもしれません。
そして、構図です、風景でも静物でもこの構図が重要です。
花瓶に生けた花を花瓶ごと描くのか、花だけ描くのか、テーブル上の他のものと一緒に静物として描くのか、
様々ですが、最初は花瓶なしの花だけ描く方がいいかもしれません。
よく花を見て、頭の中でイマジネーションを働かせましょう。
よく集中して見ていると、何かおもしろいこと、色だとか、形だとか、雰囲気だとかを感じるようになります。
(意外と難しいかも)、描き方は風景画や静物と同じです。
イーゼルはあったほうが描きやすいです。
花は葉っぱがあります。この緑色の作り方ですが、色の三原色(赤、青、黄色)で色々できます。
寒色系の三原色は赤(アリザリンクリムソン)青(セルシアンブルー)黄色(レモンイエロー)。
暖色系の三原色は赤(カドミュームレッド)青(ウルトラマリーンブルー)黄色(カドミュームイエロー)
を試してみてください。
重色も覚えておきましょう。下地の色が完全に乾いてからその上に色を載せますと、また変わった風合いが
出ます。

初歩のスケッチその11 水彩で静物を描く

静物画は静止しているモチーフを描くものです。
対象は色々ありますが、身近なもので野菜、果物、ワインやウイスキーの壜、グラス、あるいは台所用品。
こんなものをテーブルの上に白いクロスか模様の入ったテーブルクロスを敷いて、その上に配置します。
最初はあれもこれも並べないようにしましょう。3点か4点くらいにしておきましょう。
この配置ですが、難しく考えるとなかなか決まりません。自分でバランスがいいな、と思うところで
決めましょう。だんだんと構図の取り方もうまくなってきますから気楽に決めましょう。
水彩紙を横に使うか縦に使うかを決めておきましょう。ビンなどの縦長のものを描くときは紙も縦長で
使った方がいいかもしれません。
室内で描くわけですのでスケッチブックではなく、画用紙のような1枚ものの水彩紙(395*340くらい)
でなるべく厚いもの(300g以上)を用意しましょう。水張りしなくてもいいものもあります。
構図が決まったら、鉛筆でデッサンします。
後で彩色するわけですので、なるべく細く薄く描きます。描きながら明るいところと暗いところを、しっかり
確認しておきましょう。
モチーフはできるだけ正確に描きましょう。後で彩色がし易くなります。
そして太陽光で描くときは時間によって影の方向が変わっていきますので注意が必要です。描き始めの時の
影の位置で最後までいきましょう。
ここからは色をどんどん載せていきますが、決まったルールはありません。自由に描き込んでいけば
いいのですが、一つの方法としては影の部分から描いていくのもいいでしょう。
参考ですが影の暗い部分はコバルトブルー+バイオレット+ローアンバー(ローシェンナでも可)の混色が
あります。この混合比を色々変えることにより感覚的に合う色を作ってください。
光のあたる白い部分は塗り残しでいいです。思い切って残してください。
明るい部分と暗い部分の境目は、水を含んだ筆でその部分をこすりますと、微妙にぼやけてきます。
野菜や果物は少々ハデな色を付けても大丈夫です。塗った絵は時間が経つと全体的に薄くなってきますので
丁度いい風合いになるでしょう。