デッサンと形(造形)その8 人物デッサンのための解剖学

必ずしも、どうしても必要という勉強ではありません。
人物画を基礎から勉強する早道として、人体解剖学の習得があります。
大学の美術を専攻すると、教養課程で必ず履修しなくてはならない科目です。
もちろん医学における解剖学ではありません。美術を志す人のための美術解剖学です。
この美術解剖学は人体の骨格、筋肉の名前を知り、腕を上げたり、下げたり、首を傾けたり、うつむいたり、
した時の骨の位置、働き、運動した時の骨、筋肉の動きなどを勉強します。
医学書ではありませんから、内蔵の動きや脳の働きなどを学ぶわけではありません。
特に裸婦を描くときは、この素養があるかどうかがまともにデッサンに現れます。
少々学問的で難しい面もありますが、人物デッサンにおいての、1つの基礎だと思って我慢して取り組んで
欲しいジャンルです。
ご存知のように解剖学の人体デッサンは西暦1400年から1500年頃のレオナルド、ダビンチやアルブレヒト
デゥーラーの時代にすでに確立した美術論となっています。
500年以上前から人体デッサンの勉強には解剖学がつきものだったわけです。
美術解剖学は日本では明治24年から東京美術学校(東京芸大)で森鴎外や久米桂一郎らによって取り上げられて
います。現在もなを美術の基礎学問として、営々と継承されているわけです。
ここに参考図書をあげておきます。他にもたくさんありますが、美術解剖学としてはボリュームはありますが
1冊手元に置いて、少しずつ勉強して欲しいと思います。
参考図書
アーティストのための美術解剖学(¥3150) ヴァレリーレ、ウインスロウ著

デッサンと形(造形)その7 石膏デッサン

中学、高校の美術の時間にみんなで教室でやりました、あれです。
石膏デッサンは美大受験の必須科目です(全部ではない)、美大受験予備校でも行っています。
入学してからも行いますし、絵を志す人はいくつになっても行います。
デッサンは絵にとって、それほど重要な行為です。
基本的には石膏デッサンに限らず、風景も静物も人物もそうですが、対象をどれだけ注意深く見る、
観察するか、にかかっています。この工程は大変重要です。
デッサンは三次元の立体の世界を二次元の平面の世界に写し取る作業です。
そこで遠近とか陰影とか、濃い薄いとかの技法を使って立体を平面画として作っていくわけです。
形を描く上において、大事なコツは影です。石膏デッサンはいわば影を描くことです。光の当たる部分によって
影の濃さが微妙に異なります。それを描き分けていかねばなりません。
石膏像はそうした明暗がはっきり出るように作られています。形も特徴があり、しっかり線も出ています。
この石膏デッサンは最初は柔らかい鉛筆で終わりの頃は少し硬い鉛筆で描くと質感が出しやすいです。
明るいところは練りゴムなどで消しこみましょう。
石膏像は色々あります。しかし安いものではありませんので絵画教室などに置いてあるものを使うのが
いいのですが、入会しなくてはなりません。
よく使われるブルータス胸像(83cmくらい)で2万円から4万円、首像でも1万5千円くらいします。
石膏デッサンはデッサンの基礎を勉強するのによい教材です。根気よく枚数を重ねれば確実に描写力が
上がります。
石膏デッサンは初歩の勉強として、だけでなく、ベテランになっても形に悩んだときにはデッサンを行います。

デッサンと形(造形)その6 静物デッサン

静物デッサンは一般的に室内で行うことが多いです。
イーゼルを立てて、そこに画用紙を置いて描きます。
その時、対象のモチーフと位置関係を一定に保ちましょう。
画用紙の中心が、視線に対して直角となる(基本は)ようにイーゼルの高さや角度を調節します。
画用紙の位置は自分の手をいっぱい伸ばしたところに置きましょう。
モチーフは最初はいくつも置かないで、1つの単体のもの、例えばコップ、花瓶、茶碗、コーヒー缶など
身近にあるもの何でもいいです。
描く順序ですが、まづは構図を決めましょう。コップの場合、真横から見るのか、斜め上から見るか、
あるいは見上げて見るか。色々な角度で見て見ましょう。そして自分の好きな角度を見つけます。
そして大体の輪郭を柔らかい鉛筆で薄くあたりをつけましょう。描いていったらモチーフの1部が画用紙から
はみ出さないようにしましょう。オサマリを念頭において大雑把に描きます。
次に明暗を入れながらボリューム感を出していきます。影をしっかり描きます。細部にもこだわりましょう。
そして少し硬い鉛筆(2Hくらい)で筆圧をあげて、強く明暗を入れながら形を整えていきます。
さらに明暗やボリューム感だけでなく質感の違いも描き分けることが大事です。
例えば陶器のコップとガラスのコップ、ミカンとリンゴ、のように質感の違いがあります。
明暗だけですと同じようになってしまいますので、鉛筆のタッチで描き分ける練習もしておきましょう。

デッサンと形(造形)その5 風景デッサン

デッサンは前にも述べましたが、対象をいかに正確に描写する、写し取ることです。
何度も描いているとコツがつかめます。急にうまくなる王道はありませんから、地道に努力するしかありません。
風景画デッサンは初歩のデッサンのところでも述べましたように、まずは対象をしっかり見ることから
始まります。いい風景だ、おもしろい構図だ、と思ってもすぐに描き出さなくて、5分ー10分くらいは
よく見ましょう、観察しましょう。
そこで、自分が感動した正体は何か、何が描きたいか、何が主役か、不要なものは何か、何か気が付いた点は
ないか。そして近くのもの、遠くのものの距離感はどうか、明暗は、どんな形か、などを自分の目でひたすら
観察します。
そういった大体のポイントを頭の中にインプットします。
それからスケッチブックや画用紙に描き始めます。
このデッサンの後に着彩(水彩画、油彩画)をする場合はラフなスケッチでかまいません。
デッサンは黒と白の明暗によって、対象を描くアートです。
技量の程度が非常によく表れます。自分がおかしいな、不自然だな、と思うところは必ず人が見ても不自然です。
風景デッサンはこの観察眼を磨く重要なステップです。
全体的にぼんやりしていた対象をボリューム感と明暗で表現する。そして質感を鉛筆のタッチで描き分ける
などの意識が必要です。

デッサンと形(造形)その4 デッサン力をつけるコツ

絵をうまく描くためにはデッサンの力を身につけなければなりません。
しかし、練習方法が分からない、人のマネではおもしろくない、絵がうまくならない。
そういう場面が出てきます。
初心者を対象にした、デッサンスクールや絵画教室、参考書、ネットの情報など多くの学びの手段があります。
そしてその指導法もまちまちです。
自分に適した教室や教本を探し出すことは至難の業です。
そうした教室や教本はほとんど基本や基礎を教えることが主体で本当のコツやポイントはなかなか教えてくれません。
場合によっては教師の描きかたをそのまま教えている場合もあります。
学びたい人の個性や感性はほとんど無視されます。
自分なりの描きかたを勉強したいのであれば、そうしたところでは徹底的に基本のみを習得ことに心がける必要
があります。これも習得のコツです。やがて自分なりの練習方法が見えてきます。そこにいつでも眼中において独自の練習方法を作って
いきましょう。
デッサンも個性がよく出る芸術です。個性を大事にしましょう。
デッサンのコツはこの後に述べる静物デッサン、石膏デッサン、人物デッサンなどの基本的なことを体得することが
デッサン力をつける大事なコツとなります。

デッサンと形(造形)その3 デッサンのための画材

鉛筆デッサンの場合
画用紙
普通の大きめのものでなるべく厚いスケッチブックでもよい。種類もたくさんあります。
一般的にはサンフロワー紙(157g)中性紙で中目のものがよく使われています。
少し高いですがケント紙があります。
鉛筆
硬さが10Bから10Hまであります。色々使って、好きな硬さを選んでください。
B系統の柔らかいものが描きやすいです。
三菱鉛筆ハイユニがいいでしょう。セットもあります。
消しゴム
プラスティックのゴム消し
練りゴム
頻繁に使います。光の当たっている部分や白い部分を作るとき、又は不要な線を消すときに使用します。
柔らかいですから練りながら使います。
カルトン
スケッチブックではなく画用紙の場合の画用紙の下に敷く板のことです。画用紙を画鋲やクリップで留めて
使います。
フィキサチーフ
定着液のことです。スプレータイプのものがあります。
描き終わったら、これで絵を定着させます。
イーゼル
大きさはいろいろありますが、なるべく頑丈なものがいいです。

木炭デッサンの場合
木炭紙
木炭でデッサンするための専用の画用紙です。
MBM木炭紙厚口(105g)がよく使われています。
木炭
色々あります。
ヤナギNo660、ヤナギ炭細軸など
その他の画材は上記鉛筆デッサンの場合と同じです。

デッサンと形(造形)その2 デッサンの種類

デッサンの定義は、主に鉛筆、コンテ、木炭、などの黒い材質のものを使って、濃淡のみで対象物(モチーフ)
を描く、又は描いたものです。
デッサンは和製英語です。外国ではドローイング又はクロッキーと呼びます。
デッサンは日本語では素描といいます。
よく絵を見て、デッサンが狂っているという言い方をします。それは人間の目はすごく正確ですから、少しの
狂いでも見抜く力があります。要するに本来のあるべき姿、形となっていない状態のことです。
美術展でデッサンが粗雑な絵はすぐに分かります。特に人物画は顔や手足にその必然性がよく出ます。
デッサンの練習は長くて遠く終わりのない勉強です。いかに功名な画家であっても、常にデッサンは日常の中で
勉強の手法として、取り入れています。
デッサンは一般的に木炭デッサンと鉛筆デッサンがあります。画材はこの次のテーマで述べます。
そして描く対象により区別されます。
静物デッサン
静止しているもの、風景、果物、花、陶器、骨董品、グラス、台所用品など。自分の手もあります。
身近にいっぱいあります。
石膏デッサン
石膏像は等身大のものから胸像まで各種あります。ミロのビーナス像、ブルータス胸像、カバービーナス像
他色々。アグリッパ(面取り)という特殊なものもあります。面だけで構成され、光の向きの変化や明度差、
陰影をデッサンするもので立体感の観察力を養うためのものです。
人物デッサン
着衣の人物デッサンとヌードデッサンがあります。
石膏デッサンより、より高度なデッサンとなります。

デッサンと形(造形) その1 デッサンは絵画の言語です

これまでの初歩のスケッチでは、スケッチは楽しいことです、そしてその楽しさを味わい、より絵に
関心を持ってもらうために、基本的なテーマで述べてきました。
ここからは、ある程度、さらに深く絵を勉強したい、絵の表現手法をさらに追求したい、又基礎から勉強したい、
という人達のためのガイダンスです。
少々専門的になってきます。
その最初のパートがデッサンです。
デッサンは絵画の言語と言われています。音楽家が譜面を読めなければ演奏できないと同じように、絵画も
その言語といわれる表現手法が体得されていなければ絵が描けません。
絵は基本的には自由ですから、どんな方法で描いても別に問題ありません。
が、デッサンはそうした意味では少々堅苦しいかもしれません。個性を一旦抑えて勉強しなくてはなりません。
そして、ある程度身についてくると、自由に表現する表現エリア、世界がさらに広がっているのに気がつくでしょう。
デッサンは基本的に対象物(モチーフ)をありのままの姿、形を写し取ることです。
抽象画であれば別にありのままでなくても自分の感性によって自由に形や姿を描くことは可能です。
ここでいうデッサンは写実的な画法です。
まずはデッサン力を養いましょう。

初歩のスケッチその12 水彩で花を描く

絵を描き始めますと誰でも花の絵が描きたくなります。
花と水彩は相性がいいため、多くの人が楽しんでいます。描き方もたくさんあります。
描いていますと、やがて自分なりの個性的な絵になってきます。
水彩で花を描く技法としてポタニカルアート(細密植物画)があります。これはこれで1つの絵画部門を
形成していますので、今回は除外します。
季節の花、自分の庭に咲く花、又は花屋さんで好きな花を買ってきてもいいでしょう。
できれば花弁の大きいものが描きやすいかもしれません。
そして、構図です、風景でも静物でもこの構図が重要です。
花瓶に生けた花を花瓶ごと描くのか、花だけ描くのか、テーブル上の他のものと一緒に静物として描くのか、
様々ですが、最初は花瓶なしの花だけ描く方がいいかもしれません。
よく花を見て、頭の中でイマジネーションを働かせましょう。
よく集中して見ていると、何かおもしろいこと、色だとか、形だとか、雰囲気だとかを感じるようになります。
(意外と難しいかも)、描き方は風景画や静物と同じです。
イーゼルはあったほうが描きやすいです。
花は葉っぱがあります。この緑色の作り方ですが、色の三原色(赤、青、黄色)で色々できます。
寒色系の三原色は赤(アリザリンクリムソン)青(セルシアンブルー)黄色(レモンイエロー)。
暖色系の三原色は赤(カドミュームレッド)青(ウルトラマリーンブルー)黄色(カドミュームイエロー)
を試してみてください。
重色も覚えておきましょう。下地の色が完全に乾いてからその上に色を載せますと、また変わった風合いが
出ます。

初歩のスケッチその11 水彩で静物を描く

静物画は静止しているモチーフを描くものです。
対象は色々ありますが、身近なもので野菜、果物、ワインやウイスキーの壜、グラス、あるいは台所用品。
こんなものをテーブルの上に白いクロスか模様の入ったテーブルクロスを敷いて、その上に配置します。
最初はあれもこれも並べないようにしましょう。3点か4点くらいにしておきましょう。
この配置ですが、難しく考えるとなかなか決まりません。自分でバランスがいいな、と思うところで
決めましょう。だんだんと構図の取り方もうまくなってきますから気楽に決めましょう。
水彩紙を横に使うか縦に使うかを決めておきましょう。ビンなどの縦長のものを描くときは紙も縦長で
使った方がいいかもしれません。
室内で描くわけですのでスケッチブックではなく、画用紙のような1枚ものの水彩紙(395*340くらい)
でなるべく厚いもの(300g以上)を用意しましょう。水張りしなくてもいいものもあります。
構図が決まったら、鉛筆でデッサンします。
後で彩色するわけですので、なるべく細く薄く描きます。描きながら明るいところと暗いところを、しっかり
確認しておきましょう。
モチーフはできるだけ正確に描きましょう。後で彩色がし易くなります。
そして太陽光で描くときは時間によって影の方向が変わっていきますので注意が必要です。描き始めの時の
影の位置で最後までいきましょう。
ここからは色をどんどん載せていきますが、決まったルールはありません。自由に描き込んでいけば
いいのですが、一つの方法としては影の部分から描いていくのもいいでしょう。
参考ですが影の暗い部分はコバルトブルー+バイオレット+ローアンバー(ローシェンナでも可)の混色が
あります。この混合比を色々変えることにより感覚的に合う色を作ってください。
光のあたる白い部分は塗り残しでいいです。思い切って残してください。
明るい部分と暗い部分の境目は、水を含んだ筆でその部分をこすりますと、微妙にぼやけてきます。
野菜や果物は少々ハデな色を付けても大丈夫です。塗った絵は時間が経つと全体的に薄くなってきますので
丁度いい風合いになるでしょう。