点描は1880年代半ばころ、フランスのスーラによって確立されています。
点描はファンゴッホをはじめ多くの画家たちに影響を与え、やがて抽象絵画への流れも
出来上がっていきました。
モネやシスレー、ピサロら印象派の画家たちは移り変わる自然の様子を細いタッチで
捉えていく等触分割を特徴としました。
そこには混色しない純粋な色を使うことで、キャンバスをより鮮やかに見せるテクニック
がありました。
1886年の第8回印象派展でスーラとシニャックは新印象派と名付けられました。
当時最新の視覚と色彩の理論を取り入れたスーラは純粋な色の点をキャンバスに置いていく
ことによって澄んだ色彩と光の表現を手に入れました。
シニャックは若くして夭折したスーラに代わって新印象派の理論化に努め、世代を超えて
多くの画家たちに影響を与えました。
2人にとって点描は調和を実現する技法でした。
1886年オランダからパリにやってきたファンゴッホはそこでスーラやシニャックの
点描作品を目にしました。
彼は点で描くそのものよりも、そこで用いられた補色の効果に魅了されました。
そうした色彩の力を最大限に活かす方法として、ゴッホは独自に点描技法を生み出して
いきました。
その後、点描はフランスからヨーロッパ全土に伝播していきました。
ベルギーやオランダではファンレイセルベルヘ、バンドベルドトーロップが点描を取り入れ
ました。
三原色と黒い線による抽象絵画で知られるモンドリアン。
彼もまた、1900年代初めにトーロップとの交流を通じて新印象派の理論に触れています。
それがきっかけとなって色彩の純粋性を追求することになった。