11)風景画の描き方 その17 固有色と基調色(1)

描く対象をそのままの色で個々に再現しても、統一感のある画面作りはできません。
固有色とは、リンゴの赤、レモンの黄、ブドウの緑など、それぞれが持っている色を言います。
絵を描く時は、固有色をうまく絵具の色に置き換えて表すのが基本ですが、固有色だけにとらわれた
表現をすると、対象の中のそれぞれが互いに主張し合い、画面が混乱します。
そこで影の色を工夫してみましょう。
固有色表現といっても影色を寒色系と暖色系にするかによって、2種類の表現が可能である。
それによって画面の中に統一感を持たせることができる。
これを画面全体にあてはめると基調色の考え方になる。
風景において色とりどりの固有色を持った家や木々も影色を工夫すると、互いに調和させることが
できる。
基調色は大きく寒色と暖色に分ける。
季節や題材によって、画面全体を支配している基調色は変化してくる。
夏と冬は寒色系、春や秋は暖色系を基調にすると、季節感と同時に統一感が得られる。
海や夏山はブルー系が合い、秋の紅葉は赤系になるだろう。都会の風景をやや無機的に表現したい時
はブルーやグレー系にするとよい。
緑の固有色を持つ山や草原でも、暖色系の色を使うと春らしいほのぼのした雰囲気になり、青味の
寒色系にすると、さわやかな夏の景色となる。
空、地面、山、水、建物、木々などの要素を好きな基調色で描いてみましょう。

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11)風景画の描き方 その16 空気遠近法

空気遠近法とは大気が持つ性質を使用した空間表現法です。
戸外で風景を眺めていると、遠景に向かうほどに対象物は青味がかって見え、又同時に遠景ほど
輪郭線が不明瞭になり、対象物がかすんで見えます。
こうした特質を使用して空気遠近法では遠景にあるものほど形態をぼやかして描いたり、色彩を
より大気の色に近づけるなどして空間の奥行きを表現します。
遠くのものは空気の層の影響を受け、はっきり形が見えないので光やカゲとして色彩で表し、空気に
溶け込むように描く、山の輪郭も遠方の山ほど大気の中に取り込まれるように薄れていくように
表現します。
ルネッサンス期においてレナルド、ダ、ビンチも既にこれを取り入れています。当時遠近技法として
線の消失点への収束や遠くのものほど小さく見せるなど、奥行きを表現する線遠近法がありました。
しかし戸外の情景を描く場合、遠景を平面の画面上で表現する際には線の効果だけでは十分ではなく
色彩の効果が必要であることをレオナルドは認識していました。
ここで初めて空気遠近法という技法が確立されたことになります。
もう1つの遠近法に色彩遠近法があります。
物理的な遠近法と空気遠近法そして色彩遠近法の3つの遠近技法を画家は通常意識しながら作品を
描いていくわけです。
色彩遠近法は要するに、後にあるものは青に、前にあるものは赤か黄にすることで、前にある物体は
自分に近づいてくる。奥ににあるものは遠ざかっていく、という視覚作用を使用した心理的錯覚を
おこさせる現象を使用した画法です。

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11)風景画の描き方 その15 風景画は中景がポイント

風景画は見えない空間を描く絵です。
遠近感を表現することは風景画の基本です。
そのため、遠近感を効果的に描くためには、ちょっとオーバーなくらいの距離感の演出が必要です。
今までにも何度も出てきた遠近法の遠景、中景、近景と言う言葉、この3つの距離感をしっかり表現
することにより、絵に情感が生まれ、ドラマが生まれ、魅力が生まれるのです。
遠景はタッチを弱くして周囲に溶け込ませ、中景はポイントとなるために描きこみが必要。
近景はタッチも強く置くが、中景ポイントを壊さない程度にすることが大事。そのためにタッチが
大きい場合は色の彩度を抑えるとか、タッチを広くつないでシルエットにするとよい。
中景をしっかり描きこんで、これを基準とします。
その視点から見て、遠景と近景の距離感を強調します。
基準となるものを設けて、前後を調整していくのが遠近感を表現する簡単な方法です。
近景を強調することで遠近感が出てきます。
その対比として中景、遠景と離れていく程、明るく弱くなり遠景は最低限の淡い色とすべきです。
絵の広がり、スケール感が出てきます。
5月の棚田を思い浮かべてください。
実際には、山、里も緑一色ですが、近景、中景、遠景の距離感があります。
それぞれの緑は色相、明度、彩度が変わっています。
遠近感も微妙な色彩の変化、濃度の変化で表現するからこそ絵の表現に広がりが出てくるのです。

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11)風景画の描き方 その14 風景画の要素

風景画は空、地面、山、水、木、建物の6つの要素から成り立っています。
描きたいテーマによって、そのテーマを中心に描くのが変わってくるのは当然でしょう。
絵の中の全てのものを均一に描くと、焦点のないごちゃごちゃした感じになてしまいます。
重要なのは上記6つの要素の配役です。
主役は、脇役は、つなぎ役は、と言う風に考えながら配置し、描くのです。
主役は固有色で細部までもしっかり描く。
脇役は主役を引き立たせるために、控えめに描く。
つなぎ役は背景の森とか、草原とか、空と雲とか、流れのある川とか道。主役を引き立たせて
脇役とジョイントする役目である。
風景画を描く場合は画面の中に遠近中という構成を意識して、そのどの部分を主役としてまとめ
上げていくか、極めて重要で、あらかじめ見極めてから制作を行う必要がある。
景色にはそれぞれ、遠近中、どこにポイントをおいて描くかによって出来る絵がある。
風景には様々な要素があります。ただ草花を描くとか、動物だけを描く、といった場合より困難
を感じることが多い。
なぜなら風景とは異なった多くの要素が集まって出来ているからです。
風景の写生は簡単な場所から初め、徐徐に複雑な場所を描く。最初から難しいものに挑戦しても
結局、自分の力不足を感じることになって、モチベーションが下がることになる。
主役、脇役、つなぎ役がはっきり分かる単純な風景から入っていくべきである。
その修練の多さが、やがて複雑な風景でも、何が描きたいか主役は何かが分かる画面構成ができる
ようになる。

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11)風景画の描き方 その13 天候と場所

風景を描くには晴れが一番と思われがちですが、実は写生に最適な天候は曇りです。 曇りの日に野外で描くと、光の変化が比較的に少なく、長時間制作ができます。 もちろん曇り空を青空に変えて描いてもかまいません。 そこで気をつけたいのは、空を青く塗るだけでは晴天の絵にならないということです。 晴れと曇りの違いを空の青さの程度だけでなく、画面全体の明るさ暗さや色調のコントラストの差で表す のがコツです。 晴れの日はコントラストが強いので空を明るくするだけではダメです。遠景はホワイトを混ぜて遠景の建物 などのシルエットを浮き出させる。はっきり見えるのでブルーを加えてやや立体的に描く。 暗い幹などは幹の奥を明るい色にして、明暗のコントラストを強くする。 曇りの日はコントラストが弱い。空をグレーにするだけではダメです。 遠景の建物などは立体感を付けず、ややあいまいにして、青味も弱くする。 暗い幹なども明暗さを付けないようにする。

場所 折角スケッチにいくのだから、その場所がどこであるかわかる絵にしたいものです。 描きたい場所に見られる特徴や、持ち味を生かした構図を考えて写生するとよい。 又、同じ場所を何度も描くことを推奨します。 同じ場所ではあっても、季節や天候によって全く違った風景に見えます。構図の取り方、彩色の仕方、 質感などが変わりますので、勉強になります。

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11)風景画の描き方 その12 時刻の移り変わり

情景を描き分ける場合、朝、昼、夕の光と空気の変化を表現しましょう。 早朝 あさもやによって空気がゆらぎ、光が弱くなる。黄色系で柔らかい光を表現する。 空   コバルトブルー+クリムソンレーキ+ホワイト+ウルトラマリンディープ 岩、海 ウルトラマリンディープ+クリムソンレーキ+ホワイト+ブラック(少量) 昼間 太陽が高い所にあるので、水平面が明るく、垂直面は暗くなる。空気が澄んでいるため、明暗のコトラスト の強い表現になる。岩は青と褐色とピリジャンを混色する。 空   セルリアンブルー+レモンイエロー+ホワイト 海   セルリアンブルー+コバルトブルー+ホワイト+ピリジャン+クリムソンレーキ(少量) 夕方 残照が強く、低い位置にある。暖色系の強い光を表す。岩は青と褐色にイエローオーカーを混色 空   パーマネントイエロー+レモンイエロー+バーミリオン+ホワイト 海   パーマネントオレンジ+レモンイエロー+ホワイト

屋外スケッチの注意事項 キャンバスに直接日光があたらない場所を選んで描こう。画面に光が当たると、反射で明るく見えて 絵具の色調がわかりづらくなる。左肩の方から日があたる角度にイーゼルを置くのが理想的。 安定感のある場所で、立って描くか、座って描くかを決め、キャンバスが水平になるように高さを調整 する。

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11)風景画の描き方 その11 季節の描き方

風景画を描く時は季節、時刻、天候、場所によって色使いが異なります。
まず季節です。
色使いを工夫すれば、四季折々の変化に恵まれた風景を情感豊かに描く事ができます。
春の空の場合 セルリアンブルー+ホワイト+クリムソンレーキ
セルリアンブルー+ホワイト+レモンイエロー(少量)
夏の空の場合 セルリアンブルー+ホワイト+ピリジャン(少量)
コバルトブルー+ホワイト+ピリジャン+クリムソンレーキ(少量)
秋の空の場合 セルリアンブルー+ホワイト+レモンイエロー
ホワイト+クリムソンレーキ
冬の空の場合 ブラック+ホワイト+コバルトブルー(少量)
ウルトラマリンディープ+ブラック+ホワイト
春の木々(若葉の黄緑) レモンイエロー+パーマネントグリーンペール
レモンイエロー+パーマネントグリーンペール+ピリジャン(カゲの緑)
夏の木々(青葉の青緑) ピリジャン+パーマネントグリーンペール
ウルトタマリンディープ+ピリジャン(カゲの深緑)
秋の木々(赤黄の緑)  パーマネントオレンジ+パーマネントグリーンペール
パーマネントイエローライト+パーマネントグリーンペール
冬の木々(落葉した木々と常緑樹)
ウルトラマリンディープ+バーントアンバー
ピリジャン+パーマネントグリーンペール(少量)+クリムソンレーキ(少量)

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11)風景画の描き方 その10 白と黒の使い方

色々な絵具を混ぜ合わせていくと、次第に黒くなってきます。
これは絵具で反射される光の波長と量が減少していくためです。
白色とは、可視光線を100%乱反射する物体です。ですから光の吸収体である絵具を混ぜ合わせて白色を
作ることはできません。
白色、灰色、黒色を無彩色といいます。可視光線をほとんど100%乱反射する物体は実際には存在しません
ので、普段我々が白色と呼んでいる色は本当は非常に明るい灰色ということです。
代表的な白はパーマネントホワイトです。
明度を高くする色です。
油絵では白は大量に使用します。そのためほかの絵具より大きいチューブが用意されています。
明るい色を作るためには欠かせないですが、白を混ぜた絵具は彩度が低くなり、鈍い色になるので要注意です。
どんよりした鈍い絵にならないように、画面上には白を混ぜた絵具と混ぜない絵具を両方バランスよく使い
ましょう。
代表的な黒はアイボリーブラックです。
黒は彩度を低くする色です。
透明感を感じさせる黒。絵具に混ぜるときは少なめに混ぜることが大事です。
ブラックを混ぜると色の鮮やかさが抑えられます。混色で自然の色に近づけたいときは、ブラックの代わりに
褐色を使うとよい。

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11)風景画の描き方 その9 茶色の使い方

茶色は基本的には単独で使用しなくて、混色に使用し、他の色を抑える役割をします。
茶色を作る場合は 赤+黒+黄です。
青味かかった茶色が欲しいときは 赤+青+黄です。
混ぜる割合は黄5+赤3+黒1くらいがいいでしょう。
黒の発色が強いので注意しましょう。
これに白を混ぜればこげ茶色になります。
市販の絵具に使い勝手のいい2色の茶色があります。
バーントシェンナ
バーントシェンナは赤の代わりになります。
赤系の茶色です。テレピンで薄めて下描きや下塗りにも用いる。シルバーホワイトに混ぜて、あたたかい
色の地塗りにも役立つ。単色で赤の代役になり、赤などを混ぜて強すぎる色を抑える効果がある。
使い方の例題としては
バーントシェンナ+ブライトレッド 落ち着いた赤になる。
赤系クリムソンレーキ+少量のバーントシェンナ    自然な色になる
青系コバルトブルー +少量のバーントシェンナ
黄系パーマネントイエローライト+少量のバーントシェンナ
緑系パーマネントグリーンペール+少量のバーントシェンナ
バーントアンバー
バーントシェンナより深い褐色で、同じように下描きや下塗りに適している。
青系と混ぜて、より深く暗い部分の抑え色として用いる。
木の幹などの陰の部分は、黒を使わずに青系との混色を使用するのがコツ。色味が豊かになる。
バーントアンバー+ウルトラマリンディープ

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11)風景画の描き方 その8 中間色

風景画を描く場合、木の葉や夕景の表現に黄緑や橙をたくさん使用しますので中間色があると色作り が楽になります。 鮮やか過ぎるので必ず他の色を加えて使用しましょう。 パーマネントグリーンペール 誠に使いかってによい緑色です。 樹木の表現に欠かせない色ですが、単色で大量に使うことは危険です。 緑が生っぽく、実在感がないものに見えて絵が軽くなってしまう危険性があります。 そこで他の絵具と混色して自然な緑を作り、四季の変化に伴う葉っぱの表現に対応させる。   春色(若葉)--黄系と混色して   夏色(青葉)--青系と混色して   秋色(紅葉)--赤系と混色して 木の一生も描き分けられます。春から夏、秋へと移り変わる色合いです。   パーマネントグリーンペール+レモンイエロー  =春   パーマネントグリーンペール+セルリアンブルー =夏   パーマネントグリーンペール+バーミリオン   =秋

パーマネントオレンジ あたたかさの演出に便利な色です。 紅葉や夕景に使います。混色やつなぎにも使用してもよい。 夕景では黄系と赤系の絵具の間に置いてつなぎの色として使う。 黄系、赤系、緑系に少量加えて、絵具の色の微調整に使う。   パーマネントオレンジ+ピリジャン(落ち着いた緑色) 茶系との混色、配色に適している。

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