10)構図 その6 構図のこと

構図の捉え方は画家によって実に様々です。
ある具象絵画の画家は次のように言っています。
私は具体的なものを題材にして絵を描いている。誰が見ても何が描かれているか分かるような
絵ですが、それはものの形やものを取り巻く状況を説明するためではありません。
目にみえるもの、形あるものをきっかけとして、目に見えない何かを描きたい。
日常の中で、目にする様々なもの、考えること、そして触れ合う人々。それら現実のの中で
ふとした瞬間に実感する、言葉では掬えない抽象的な、しかし満ち足りた感覚。
見えないけど確かに感じたその感覚は存在へと繋がる、誰もが共有することのできる人間本来
の根本的な感覚ではないかと思います。
私にとって構図を考えることはキャンバスという限定された空間に見えない何かを書く為の
必要かつ重要な要素で、どのような構図にするのかということから、絵を描く作業が始まります。
描く手順を決めているわけではありませんが、描く絵のイメージが決まると、まず小さなスケッチ
ブックにそのイメージを描いていきます。
主題になるモチーフだけ描くのではなく、モチーフを矩形で囲って、主題の形と、それを描いた
ことによって見えてくる余白の形とのバランスを考えながら画面に入れる大きさや視点を決めて
いきます。構図が大まかに決まるとキャンバスを作ります。比率はスケッチブック上で決めた
矩形と同じですが大きさはイメージによって異なります。自分に合う大きさを探りながら決めて
いきます。
そしてキャンバスに描き始めますが、スケッチブックの構図をもとに描きますが、その通りには
描きません、参考程度です。新たな形を手掛かりにして絵と自分との対話が始まるのです。
自分の気持ちとぴったり合う形や色になるまで筆を動かしていますとやがて自分の構図が見えて
きます。

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10)構図 その5 構図の1つの手順

構図の1つの手順として、例えばミカンの形がおもしろいから描きたいな、と思ったとき。
そのモチーフを色鉛筆でデッサンして、小さいものですがアイディアスケッチを作ります。
あらゆる向きからモチーフをデッサンして、それをタブローの画面にどのように入れるかを
考えていきます。
デコボンを5つ横に並べたとします。デコボンは枝付きです。
丸い塊と横に伸びる枝がおもしろいと思える構図を作っていきます。
その面白さはリズムです。意外と感覚的ななものです。
とは言っても画面に向かうときには頭の中にその構図が出来上がっていなければなりません。
だからそれを絵にするときは、真っ白いキャンバスにすっと描いていけるわけです。
そのために色々な方向からデッサンしなければならない。デッサンが一番大事です。
手を動かして相当の数のデッサンをしている内に構図が頭の中に出来上がっていくことが分かります。
この段階で画面の大きさも決めます。キャンバスに下塗りした後、鉛筆で軽くあたりをつけて
描画に入ります。すでに頭の中にイメージが出来上がっているはずですから、どんどん描き進めて
いきます。ここであまり何回もやり直しをしてはいけません。やり直しは画面が固くなり、
つまらないものになってしまいがちです。
どこに何を配置するかもあまり考えすぎないで、こうするとおもしろいな、というバランスとか
勘で決めていけばよろしい。

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10)構図 その4 構図は画家の感性

構図は画家の感性です。花の場合だったら自分でデッサンしたものを、画面の中にどのように
入れたら空間が活きるか、自分が感じる花の気持ちがその四角い世界で最大限に活きるためには
どうしたらいいか。それは描き手のいわゆる感覚、感情、センスといったものがそのまま出て
きますから、あまり無理をせずに、こうしたいと思ったことをするのが一番です。
構図の分析の一つに黄金分割がありますが、画家が最初からそれを意識して描いたというより
は、人間の今持っているとても気持ちの良いバランスがそこに表現さえているということだと
思います。
ですから絵を見ていて気分が悪いなと思ったら、それは気分の悪い構図なんです。
もし、気分が悪い、気持ちが悪い、嫌な感じというのを描きたいのだとしたら、そういう構図を
作らなければならないわけです。
風景の中に木を描く時に、木はもう少しこちらにあった方がいいな、とか自分で作っていきます。
それは勘です。空きがこれくらいだったら、地平線はこれくらいというように。
いわゆる視点の置き方によって画面は変わってきます。
日本の伝統的な描き方は絵巻にありますように、いわゆる平行です。
平行に見ていく。遠いものを小さくしてしまうと見えない。
それだったら全部に焦点を当てていく。掛け軸の山水画がそうです。
前景、中景、後景と3つに分けて、どのようにヴァルールを考えるかと言うと、濃淡を使います。
それによって遠くに行っているように見えるわけですから、目の錯覚を使用して絵を描いている
わけです。
平面の2次元のところに3次元的なものを描かねばならないわけですから、当然それを認識できて
いないと絵は破綻します。

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10)構図 その3 構図についての考察

最近ではインターネットで動画を見ることができます。そこで2時間程度でモデルを描く
パフォーマンスが行われていました。
その映像に映った彼らを見て思ったのは、早く描くことが目的になってしまって、まるで
作品が言い訳のようになってしまっているということでした。
作家としての哲学や個性、価値観はどこへ行ってしまったのでしょう。
それぞれの作家のアトリエが同じでないように作品にもその作家なりの考え方が出てきて
しかるべきで、それがなければ作品としてつまらないものになってしまいます。
モチーフをよく伝えたいという思いで、構図は自然と決まります。
洋画家が一番最初に構図として習うのは、画面を水平に走る横の線です。
しかし単純にまっすぐ横に線を走らせただけでは、画面におもしろみが無くなってしまう
ことがあります。
絵画でバランスを取る方法に2種類あります。
一つは破綻させないように描くこと。
もう一つはやじろべえのようにわざと揺らす方法です。あえて揺らぎを与えて、一見不安定
にすることで、画面に動きを作り出すことも必要です。
また、幾何学的に画面を分けて構図を決める方法もあります。
画面の二分の一、四分の一で分割したところに必ず何かモチーフを配する。だからと言って
良い構図になるとは限りませんが、基準があった方が描きやすいという画家は多い。

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10)構図 その2 構図は絵を描く手段

構図にはいくつかのパターンが存在します。
例えば美大の受験するとき、受験をクリアするためにある決まったパターンがあります。
そういう画一的なものが作品として発表されたときに人の心に響くかというとなかなか
難しいでしょう。
やはり誰にもできないものを作り出すからこそ価値があるのだと思います。
構図は単にバランスが良いというだけでは何にもなりません。
その絵が出来上がったときに、絵を見る人達の心に引っかかるかどうか。相手に明快な
印象を与えることがげきれば、描きたいテーマも相手に伝わるはずです。
構図だけどんなに考えても、画面が単なる色や形のパズル合わせ的なもので終わって
しまえば意味のないことです。
構図は絵を描く手段ですから、絵が最終的に良ければいいのです。
画家にとって描くモチーフ、対象が重要です。
モチーフ、テーマありきです。それを良く見せる、相手に伝えるための手段として構図が
あります。
描きたいものがあれば、必然的に構図は決まってきます。
本物を見て描きなさいとよく言われます。それはとても大事なことです。
美術品として評価のあるもの、人に大切にされてきたものには、そのもの自体から強い
イメージが生じます。
そういうものは見ていると自然に描きたいという思いを起こさせてくれます。
モチーフから得る力というのは画家にとって本当に大きいものです。

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10)構図 その1 構図って何

構図とは基本的に自分が描きたい絵のテーマがはっきりわかるように画面の中にモチーフ
を配置することです。
よく聞かれます、いい構図ってどんな構図?
そんな構図はありません。
だからいい構図ってどんな構図、ではなく狙いや目的が先にあって、それをよりよく見せるため、
演出するために取捨選択して切り取られ、画面に残ったものが結果として、いい構図なのであり、
自分の意見も何もない状態での漠然としたいい構図、というものは存在し得ない。
確かに構図によって、その絵の価値の半分以上が決まってしまう、と言われています。極めて
絵を描く上では重要な要素です。
例えば風景画の構図の取り方を考えてみましょう。
風景はとても広いのでどこを描いたらいいか迷います。
自分が一番描きたい場所を中心に風景を切り取りたい。どうしたらいいのか。
まずは1つのパノラマ的な風景を見たとき、その中で一番描きたいものは何かをしっかり考える。
山とか、湖とか建物とか、欲張ってしまうと絵がまとまりません。
このように風景画においても先に構図があるのではなく、画家の意思が、描きたいと思う対象を
明確にすることが先で、それが決まったとき、決まった切り取り場面が構図なのです。
ちなみに風景の切り取り方は両手の指で四角を作って覗くと簡単に構図が取れます。
そして遠近法を充分に考慮してください。遠景、中景、近景の配置の仕方です。

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9)色々なマチエール その6 マチエールの基本

マチエールの語は岩波西洋美術用語辞典では、物質の意味、美術では絵具など作品を形作る 物質的素材及びその質感のこと。と簡潔に述べている。 美術手帖増刊号 油絵のマテリアル(美術出版社)の中の油絵表現用語辞典で森田恒之氏は 岡鹿之助著 油絵のマチエールのまえがきを次のように紹介している。 藤田嗣治氏のすすめでサロンドートンヌへ絵を持っていった。 フランス人の絵の中に自分の絵を置いてみて、はじめて自分の絵には絵具がものを言っていない ことが分かった。 自分の絵の右隣も左隣の絵も絵具はカチッとキャンバスについて、色の張りもあり、冴えている。 だが自分の画面は指で触れればポロポロと剥がれ落ちそうだ。 私は芸術以前の単に材料の物質的な取り扱いさえ知らない点を思い知らされて茫然としたもの である。 フランスの画家たちのアトリエを訪ねてみると、油絵500年の伝統を持ちながら、めいめいが キャンバスを作ったり、絵具の練り方を工夫したり、その材料を生かす苦心の大きさに今更の ように驚きもし、又大いに勇気づけられた。 作品の中に価値を実現する技術を持つ者が創作者であるならば、創作に導く心の動きをキャンバス に定着させる技術獲得のために使用する材料の性格は知悉しておきたいものだ。

ここに紹介した文面からマチエールの本質が見える。

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油絵の歴史

油絵(洋画)の歴史について少しだけふれておきます。
油絵は主に西洋で発達した絵画です。
ご存知のように何世紀も前から描かれています。
日本に入ってきたのは1890年ころですが、それよりはるか前、12世紀に始まったとされています。
この創成期を築いたのはイタリアのゴシック期のチマブーエという人です。
その後、イタリアルネッサンス期の代表的な芸術家レオナルド、ダ、ビンチ、やミケランジェロ、ラファエッロ
を経て17世紀のバロック期にはレイブラント、フェルメール、エルグレコなどが活躍してます。
18世紀のロココ期を経て19世紀は日本でもお馴染みの超有名画家が並びます。
クリムト、ミレー、ロセッティー、マネ、ピサロ、モネ、ルノアール、トガ、シスレー、セザンヌ、ゴッホ、
ゴーギャン、スーラなど。
20世紀には、マルク、シーレ、ピカソ、ブラックなど。
日本では明治27年(1890年)江戸生まれの高橋由一が洋画家第一号と言われています。
由一は本格的な油絵技法を習得して江戸末期から明治中頃まで活躍しました。
その後、黒田清輝、藤田嗣治、藤島武二、岸田劉生などが日本における洋画画壇の基礎を築きました。
2つの世界大戦をはさんで今日まで多くの洋画家が輩出しました。
現代では日本画と美術界を2分する大きな画壇となっています。

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油絵とその特徴

この章から本格的に油絵(油彩画)の世界に入っていきます。
これまで、初歩のデッサン、水彩画、デッサンなどのことについて述べてきましたが、ここから本題の
テーマである油絵について述べていきます。
まずは油絵とその特徴です。
他の絵画との決定的な違いは表現手法の技法や表現の幅の広さです。
この幅と深さが油絵の最大の特徴です。
絵の表面処理を行えば何百年もその輝きを失うことなく後世に伝えることができます。
絵を描く対象物のことを支持体といいますが、この支持体は普通は木枠に麻布を張ったキャンバスに
描きますが、他にもベニヤ板や金属の板などにも描きます。
油絵の特徴として水彩画と比較するとよく分かります。
透明感
水彩画は一発で透明な感じが出せます。
油絵は難しいです。テクニックが必要です。
匂い
水彩画は匂いがありません。
油絵は匂います。ほとんどの人は気にならないですが、中には耐えられない人もいます。
耐えられなくなって油絵から水彩画に転向した人もいるくらいです。
塗り直し
水彩画は塗る直しは難しい。
油絵は何度でも上に上にと色を重ねていくことができます。
制作時間
水彩画は短い。
油絵は長くかかります。
絵具
水彩画の方が大分安いでしょう。

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