油絵の技法 その5 マスキング

絵画の中では市販されているマスキングテープを使って、長い直線(曲線でも)を曲がらないで描きたい
ときや、シャープなエッジが欲しいときに使われます。
筆では描けない狭い直線を描く時には便利な技法です。
例えば、格子状の形が描きたいときは、下の地色を塗って、乾いてから任意の幅のテープで格子状に
一定の間隔で貼り付けます。
この状態でこの上に違う色を塗り重ねます。
そしてテープを剥がしますと格子状の模様が現れます。
建物や構造物の絵で強い調子の直線が欲しい場合もその直線部に所定の幅でテープを張り、その上から
色を塗り重ねて、テープを剥がせばシャープな線が得られます。
バイオリンやチェロなどの弦を描く時はこの方法がよく使われます。
しかし線が強すぎる場合は面相筆などで軽くその上からなぞりますと柔らかい感じとなります。
テープではなくマスキング液を使う方法もあります。
塗る、塗らない部分を曲線で分けたい、より細い線が欲しい場合に使われます。
マスキング液は合成ゴムをアンモニアで溶かした液体です。
乾くとゴム状になって後から簡単に剥がすことができます。
この技法は1920年ごろから使われるようになったと、との記録があります。
当初は図案や装丁などのグラフィックアートや工業製品のロゴマークを入れる塗装の方法として
使われていました。
現代絵画でも、ごく一般的な画法として普及しています。

油絵の技法 その4 クロスハッチング

ハッチングとは絵画や製図で使われる描画法の1つで複数の平行線を描きこむことです。
図面などで、この場所ですよ、と言う風に示す斜めに線をたくさん引いて表す描き方です。
絵画技法としては細かく(あるいは粗く)平行線を引いていくことで絵に重量感を与える技法として
知られています。
又各々異なる方向に向いて描かれたハッチングを重ねて線を交差させて描く方法をクロスハッチング
といいます。
絵画では細い平行線を交差(クロスハッチング)させ、その多少によって濃淡を作っていく技法です。
線影ともいいます。
細い筆と白い絵具を用いてハイライト部分の量感を作るときにも使用されます。
言葉だけではよく分からないかも知れませんが、鉛筆でクロスハッチングの練習をすれば、その
効果が実感できるかもしれません。
白い画用紙(何でもよい)に球形を描きましょう、
光を1方向に定めて、その球の陰影をクロスハッチングで描き分ける方法です。
影の濃いところは細い平行線を細かくたくさん引いていきます。右斜めに引いたら、今度は左斜めに
引きます。陰の薄いところはクロスハッチングの平行線の幅を広くしましょう。
濃いところを描く時に鉛筆の筆圧を上げないように、筆圧はすべて同じ程度にしましょう。
最初は線ががたがたで美しくありませんが、やがてやっている内に真っ直ぐなきれいな線が引けれ
ようになります。
しかしハッチングに気を取られて全体の意識が薄くなってはいけません。
クロスハッチングは単に陰影を作る技法としての紹介です。こだわる必要はありません。

油絵の技法 その3 スカンブリング

擦りぼかしといいます。
隙間から下地の色が見えるように不規則な模様を描く技法です。
不透明、又は半透明な絵具を乾いた絵具の層の上にぼかして塗り、上層と下層の色調が
響きあう効果を出すテクニックです。
下層の絵具を上手く透かして見せるためには乾いた筆の筆先に、ほんの少し絵具を取り、
筆跡をかすれさせ、やや粗いタッチで不規則に筆を動かすことがコツです。
下地の絵具が乾いている上に施すので乾燥の速いアクリル画に向いた描き方です。
地色と正反対の色、同系色の色で描いてもよく、好みと狙った効果により選ぶことができます。
例えば、濃い青に薄い明るいブルー、紫を加えると色調が微妙となり発色が深まります。
注意することは土台となる色を次にスカンブリングする時にすべて消してしまわないこと。
絵具を塗るときに硬めの筆、布、指などで軽いタッチで擦る(こする)ようにします。
ドライブラシと同様、絵具を薄めて描くこともでき、水分を布や紙に吸わせてから行うと
効果的です。
絵全体がバランスがよくないときにスカンブリングで整えると、落ち着いた絵の雰囲気を
出せます。
又、モチーフの色が強すぎたり、背景から浮いて見られる場合には軽くスカンブリングを
施すと色調がぼやけてほどよく収まります。
色のコントラストを弱めたいとき、色合いを和やかにしたいときなどに便利です。

油絵の技法 その2 ぼかしとスフマート

ぼかしは平塗りから徐徐に色を薄く伸ばしていく技法で、絵具の柔らかい内に、刷毛や布 指などを使って、色を混ぜていきます。 このぼかしは大きな空間を表現するのに向いています。 この技法は製作途中でよく使われます。 空を描く時に、下に塗った色が乾かないうちに雲の白色を多めにのせます。そして指で 円を描くようにぼかしていく方法です。 わずかなムラが雲の形にボリュームを与えてくれます。 ファンという筆を使う場合もあります。 これを使ってすこしずつ2色の色が混じりあうようにぼかしていきます。 水面や雨上がりの路面の写り込みを描く時に重宝します。 たたきぼかし、という技法もあります。 絵具をたんぽや穂先を切った筆などにつけて、キャンバスにたたきつけながら霧を吹きつけた ような効果が得られます。

ぼかしはつまりは絵具がぬれている間に別な絵具を塗って相互が干渉しあって中間色として 混じりあった状態をいいます。 水彩画などでも広く使われている方法ですが、水彩の場合は水をたっぷり使って、色そのものを ぼかしていきます。

スフマート スフマートはレオナルドダビンチが開発したと言われていますが、別に特別な秘技というほどの ものではありません。 要は、ぼかしによる空気遠近法ということです。 輪郭線をなだらかにぼかして、明暗によって遠近感をつける、という方法です。 中国や日本の水墨の山水画でもよく使われています。

油絵の技法 その1 平塗り

広い面積を塗る平塗りは、わずかに異なる色を2度塗りしますと、厚みにある色面が得られます。 美しく色をのせていく方法として 溶き油で絵具をゆるめて流動性を持たせて、刷毛(やわらかい毛)で塗り広げていく、そして 画面全体が均質になるよう何度も刷毛を返しながら塗り進めていきます。 若干キャンバスの目が残りますが、このわずかな起伏が後の塗り重ねに効果を発揮します。

堅めの刷毛(豚毛)で塗りこむ方法もあります。 刷毛を画面に対して立てて、絵具をキャンバスにすり込むように塗っていきます。 円を描くように塗りこむと模様が出て、画面に重厚さが出ます。 厚塗りができるのも油絵の特徴です。 たっぷり多めの絵具をパレット上で調合して、キャンバスにやや筆を寝かせて、絵具を盛り付ける ようにのせます。

制作途中で使われる平塗りの画法として かすれ があります。 硬い刷毛で溶き油を使わないで刷毛を寝かせて、縦か横に引っ張るような感じで描きますと かすれた感じが出ます。 板などを描く時にかすれた感じを出すときに使用されます。 刷毛の代わりにナイフを使ってかすれた感じを出す場合もあります。 下の絵具が乾かないうちに、絵具をのせて縦や横に引っ張ると油絵独特のねばりで、さざなみなどが 表現できます。