19-20世紀の美術運動 その10 キュビズム

その10 キュビズム

キュビズムは20世紀初頭、パブロピカソとジョルジョブラックによって創始され、多くの追随者を生んだ 現代美術の大きな動向である。 それまでの具象絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、色々な角度から見たものの形を一つの 画面に収め、ルネッサンス以来の一点透視図法を否定した。 キュビズムの出発点は、ピカソが1907年に描きあげた「アビニオンの娘たち」である。 この絵をごく一部の友人に見せたが反応は芳しいものではなかった。 しかしブラックはピカソの仕事の重要性に気づき、「大きな裸婦」(1908年)を描いてそのあとを追った。 そしてセザンヌゆかりのエスタック地方に旅し、7点のセザンヌ的キュビズムの風景画を描き、1908年に 画廊で公開した。これを見た批評家がブラックは一切を立方体(キューブ)に還元する。といった。 これがキュビズムの名の起こりとされている、 1909年からピカソとブラックは共同でキュビズム追及を始めた。 キュビズムがはじめて世に出てきた契機は1911年の第27回アンデパンダン展である。 ピカソとブラックの仕事に影響を受けた画家たちが会場の一室を占拠して、キュビズムのデモンストレーション を行った。観衆はそれらの醜い作品を見て衝撃を受け、口々に非難した。 しかしキュビズムの美術の分野における影響は大きく、絵画にとどまらず、彫刻、デザイン、建築、写真に まで影響が及んでいる。特に未来派、抽象絵画への影響は大きい。 理論的な難解さの一方で視覚的には新奇で人目をひくため、多くの画家の好みに合致したところがあり、 キュビズムはかなりの追随者を生んだ。