19-20世紀の美術運動 その4 アールデコ

その4 アールデコ

アールデコはアールヌーヴォーの時代に続き、ヨーロッパやアメリカを中心に1910年代半ばから 1930年代にかけて流行した装飾美術の運動。 アールデコは1925年に開催されたパリ万国装飾美術博覧会で花開いた。この博覧会の正式な名称は 現代装飾美術産業美術国際博覧会といい、略称をアールデコ博という。これにちなんでアールデコと呼ばれる。 世紀末のアールヌーヴォーは植物などを思わせる曲線を多用した有機的なデザインであったが、自動車 飛行機、各種工業製品といったものが生まれ、時代の移り変わりに伴い、世界中の都市で同時代に流行して 大衆に消費された装飾である。富裕層向けの1点ものが中心となったアールヌーヴォーのデザインに対し、 アールデコのデザインは1点ものも多かったが大量生産とデザインの調和をも取ろうとした。 アールデコの影響を受けた分野は多岐にわたり、広まった。 アールデコは装飾ではなく規格化された形態を重視する機能的なモダニズムの論理に合わないことから、 流行が去ると、過去の悪趣味な装飾と捉えられた。従来の美術史、デザイン史では全く評価されなくなった。 しかし、1966年パリでの25年代展以降、ポストモダニズムの流れの中で再評価が進んだ。 アールデコ建築の代表的なものはニューヨークの摩天楼(クライスラービル、エンパイヤーステートビル、 ロックフェラーセンターなど)が有名。 日本でも昭和期初期の一時期アールデコ様式が流行した。東京都庭園美術館(旧 朝香宮邸)他。